家庭教師田口の視点(49ページ目)

目が疲れるというような方は、ぜひ、プリントアウトされてから、お読みください。無理をされませんよう)


2011年4月17日 0:01:51
 さて、少し視点を変えて、違う話もしてみましょう。「どうして子どもが勉強嫌いになるか」については、勉強嫌いを未然に防ぐ手立てを考えていくご参考に、また、いずれ、つづきを書き出していくつもりです。同じテーマで、書き続けると、頭の中で、ほかのテーマが「こっちも書いてくれ」と叫んでくるものですから、、。

 今回は、私の授業の実況中継的なものをしてみましょう。
 皆さんのご参考になるような話にしますね。
 漢字の送り仮名は、どう覚えたらいいか、という話をしましょう。たとえば、「試みる」はどうして、「みる」がひらがなかわかりますか?あるいは、「行う」は、「行なう」ではないのは、なぜでしょう。これを、多少実況中継風にお伝えしますね。

 それには、理由があります。
 難しいことは、さておいて、送り仮名の部分を特定するには、どこまで、漢字かということを知ればいいですね。例外はありますが、皆さんが判断に迷うような漢字は、次のようなやり方で見分けがつきます。
 「ない」をつけてみるのです。
 たとえば、「試みる」に「ない」をつけると、「試みない」となりますね。で、「ない」の直前にひらがなの「み」があります。
 「行う」ですと、これに「ない」をつけると、「行わない」となり、「ない」の前に、「わ」というひらがながつきますね。
 これでわかりましたでしょう。
 「ない」の直前の一文字をひらがなにして、それより前が、漢字になるのです。
 わかりましたでしょうか?
 (これ以降は、少し難しいところもあるので、懐かしく読んでいただければ、それはそれでいいですが、適当に読み飛ばしてくださっても結構です。申し上げたいことのエッセンスだけご理解いただければ、、)

 実は、これ(漢字の部分)は、「語幹」というやつなのですね。何か、昔習ったような感じのする言葉でしょう。
 ちなみに、「語幹」という言葉、「語の幹(みき)」ということで、動詞などの活用しない部分、つまり、活用形によって、「全く変化しない」部分をいうのですね。一方で、「活用語尾」は、その名のとおり、「言葉のお尻」で、活用する部分、つまり、「変化する」部分をいうのですね。語幹が、木の幹に対応するものであるとすれば、活用語尾は木の枝や葉に相当するものです。1年じゅうほとんど変化のない幹に対して、枝葉(えだは)は、季節によって、色々変化しますよね。語幹と活用語尾の関係をこうあらわした方は、なかなかイメージ豊かに発想されたものですね。
 漢字は、とくに言葉(あるいは、文字)それ自身がなんとなく意味を語っているという場合も多く、私達はこれを利用しない手はありませんよね。

 語幹は動詞の活用表の中の、一番上にでてくる言葉なのです。
 で、私は、動詞の活用表がわからないとか、習っていないとか、当面習う必要がないという子には、いちいち活用表などを教えずに、上のように、「ない」をつけてみて、という方法で、送り仮名を説明します。
 もちろん、自分できちんと漢字を覚えられるという子は問題ないですけどね。
 でも、送り仮名の判断に悩む、という子には、簡単に、こうやって説明します。
 語幹をしっかり覚えている(理解している)、と思われる子には、「大体において、語幹が漢字になる、と覚えといて」というような話をします。
 活用表が作れないけど、作れるようにならなければ、という子には、活用表の作り方を教えてあげます。慣れたら、難しくないです。活用表の作り方にもコツがありますが、長くなるので、やめますね。ご興味のある方も少ないでしょうから、、。
 要は、その子その子の現状に合わせて、教えていく必要があるのですね。教えることが、こちらの知識のひけらかしになってしまったり、自分の土俵へ強引に引き入れるということになると、わからなくて、もがき苦しんでいる子の場合、それを助長することになりかねません。

 教えるということも、子育ても、ポイントをおさえることが大事、ということの意味が、この例でもお分かりいただけるかと思います。
 教える側が、活用表を知っているからといって、当面必要のない子(たとえば、中学受験を目指す小学生)に、そこまでさかのぼって説明しようとすると、教えられるほうも疲れます。逆に、「語幹」の概念がわかっている子に、「ない」をつけてね、みたいな説明をしても、ほとんど意味がなく、「だいたい語幹のところが漢字になるんだよ」と伝えれば、十分で、そのほうが、きわめてわかりやすく、しかも一言で説明が終了するということになります。

 賢い子ほど、だらだらとした説明よりも、一言で簡単にいってくれることを好むといえるでしょう。

 私が教えた中でも、「天才少女」と、周りから言われるほど賢かった子がいるのですが、この子には、私は、本人が質問してきたとき、「それは数A」とか、そんな程度の一言の説明ですませてしまうこともよくありました。これは、不親切に響くかもしれませんが、勉強のできる子には、「親切」なのです。
 1問の説明が2,3秒くらいというのは、しょっちゅうで、それで、彼女は「はっ」と小さくつぶやいて、そのあと、みごとに解いてしまうのですから、すごいといえば、すごいんですけどね。
 教えるということが、その子の現状にあわせて、ピンとわかるようであることが必要で、これが「ポイントをおさえる」ということの本質です。
 もちろん、わからないという子には、丁寧に説明していく必要があるわけですけどね。

 子育ても、勉強を教えることも、相手を見て、その子にピンとくるような話をしていく必要があるということですね。
 教える側が「語幹」を知っていることは、当然ですが、それでも、子どもによっては、「語幹」を使わずに説明するということができる必要があると思います。知識を持っていても、それをすべて「自分はすごいだろう」といわんばかりに、説明をしようとすると、一見すると熱心に教えているように見えますが、かえって子どもにとってわかりにくいということにもなりかねないわけですね。
 私たちが深い思考を、普段からしているということは大事ですが、一方で、むしろ、それだからこそ、できるだけ、簡単に、すっとわかるような説明をしてあげるということが必要なのだと思います。
 わかりやすさの基本は、その子の現状を踏まえて、ピンポイントで、説明できるかということにあるといえるかと思いますが、いかがでしょう?
 漢字の送り仮名ひとつでも、いろんなとらえ方ができるということですね。

 私たち家庭教師は、日々深く広く、知識を増やしていくという感覚を、日常生活でもするくらいな感覚が求められるのでは、という気がします。それは、小説家が、毎日文章を書き続けなければ、感覚が鈍ってしまうというのと、同じ感じかもしれません。

2011年4月23日 7:08:04
 今回は、「すりあわせ」について、お話しましょう。

 ということで、そのために掲示板の「ヤムチャ母」さんの息子さんにご登場願いますね。ヤムチャ母さん、息子さん、よろしくご理解ください。

 彼を教えたのは、ちょうど去年の今ごろだったかと思います。
 教え始めたころ、とてもはきはき、明るいのが印象的な子でした。
 人間的にも、家族や親戚に対して、とても、やさしい思いを持っているということがお母さんであるヤムチャ母さんからのメールでわかりました。
 でも、お母さんの悩みがひとつだけありました。
 「どうも、のんびりしている」とのことでした。つまり、もう受験まで1年もないのに、いまひとつがんばっていないように、お母さんには映ったらしいのですね。おそらくその状態は、最初の3,ヶ月くらい続いたかと思います。
 でも、彼に聞くと、彼は、自分なりにがんばっているというのですね。
 
 こういうときは、私は、「すりあわせ」を提案したり、実際私自身が「すりあわせ」を実行したりすることがあります。
 「すりあわせ」とは、親が、あるいは、周りが見て、がんばって見えないところについて、本人と話合って、実際どうなのか、共通の理解をもつことです。

 よくご家庭で、子どもと話合った、という話を聞きますが、うまくいかない場合は、すりあわせではなく、親の目線の押付けになってしまっているせいかもしれません。話合った結果、本人が「がんばる」とか、「大丈夫」とか、いうとしても、それは、そうでも言わないと親が「話し合い」をやめないし、そもそも親の言うことが正しいので、言い返せないというのがあるのかもしれません。
 子どもの「大丈夫」を、こういうときは、額面どおり受け取らないことでしょう。
 こちらの言うことはただしいし、やらなければならないから、やりなさい、というような論理になっている可能性があるのですね。ただ、そんなわかりきったことを言うことほど、不毛なことはないでしょう。本人も重々わかっていて、がんばらなかったりしているのですから、、。

 それは、私が考えている「すりあわせ」とは、似ていますが、ほとんど、正反対の意味合いを持つといっていいでしょう。
 そうではなくて、子どもの意見を聞き、子どもがこれこれこうで、このときにこうやってがんばっていると言うことを、あるいは、その子どものそのときの心情を理解し、その上で、ご両親(ヤムチャ母さんのところは、母子家庭(私も母子家庭育ちです)ですから、そういうお宅では、お母さん)からみて、どうか、という話を、具体的な行動について、話をし、共通の認識を得ることなのです。 
 このとき、大事なのは、親の言うことが常に正しい、つまり、こちら側の論理が正しいという形で、強引に説得することがないほうがいいということです。その子の意見を聞きながら、具体的な行動の一つ一つに関して、共通の認識を持っていこうという感じで十分かと思います。
 言い負かしても、本人はがんばらないかもしれません。というか、言い負かした方が、がんばらないといえるかもしれません。
 「私は言い負かしていません」て?もし、親御さんの方が、子どもさんよりも饒舌であったりした場合、「言い負かしている」可能性は十分にあると思っていいでしょう。

 私は、こういうときによく言うのですが、言うことが正しいとしても、その正しいと思うことをそのまま伝えることが正しいわけではないということです。それを言うタイミングが大事ですし、そもそも、こちらがそれを言わずに、子どもの方から、言い出すくらいな感じのほうがもっといいといえるでしょう。
 ちょっと前に、私は、有名な(?)「バナナ事件」(詳しくは家庭教師田口の視点(42ページ目)ご参考に)のことをを書きましたが、妻は、息子に「バナナの皮を捨てなさい」と、息子がバナナを食べる前に言ったりするから、息子はバナナを捨てなかったのですね。それは、最悪のタイミングといえるでしょう。食べている最中にいっても、食べた直後にいっても、おそらくは、息子は、バナナを捨てようとしなかったでしょう。
 一方で、私は、バナナを捨てなさい、みたいなことは、一切言っていないのに、息子は、バナナを自分で捨てにいってくれました。バナナ事件は、いろんな見方ができて、深いのですよ。ここにこそ、私の子育て、教育の真髄があるといえるでしょう。

 「すりあわせ」というものの発想の根っこも、同様の感覚からきているのです。
 子どもを説得することは大事ではなく、むしろ、上手に、子どもに説得させられるほうがいいくらいかもしれないとさえ思います
 
 こちら側からの、説得の意味合いが強くなると、親の意見の押し付けがましさが、表に出すぎて、かえって、本人のやる気をそぐ可能性が大きくなるといっていいでしょう。これは、親御さんが思っている以上に、悪い効果をもたらしたりします。
 
 ヤムチャ母さんは、私のホームページと本の、ものすごい愛読者ですから、そのあたり、おそらく、踏まえてやってくださったのでしょう。いつもいつも感謝です。勉強になります。

 しばらくして、彼は、自分からどんどんがんばる子になっていきました。
 最初のころ、悩んでおられるかのようなメールをお母さんから、続けざまにいただきましたが、3ヶ月たったころから、「本当にがんばっています」というような、うれしそうなメールが続くようになり、今日に至っています。
 受かった高校は、その地域では、トップの高校らしく、彼の受験までのがんばりがあったからこそ、彼は、受かることができたといえるでしょう。彼は、今、毎日学校の宿題に必至になって取っ組んでいる状態で、私の宿題もきちんとやりきれない感じですが、でも、毎回お母さんからいただくメールから、彼が精一杯がんばっていることもわかりますし、さすがに、高校が高校だけに、宿題の量が半端でなく大変な量なので、私の宿題がやれていないことに関して、仕方ないと思っています。
 彼のサポートを、できるかぎりしてあげたいと思っています。

 彼は、今、お母さんのご期待に、必至になって、応えてくれています。
 お母さんと彼とは、今、こうありたい、という共通の認識をもち、それに向けて、彼なりに、がんばっていることが十分にわかります。
 ホームページからもありがとうと、心からいいたいです。
 私の娘もいい刺激を受けています。そういう意味でも、ありがとう!

 「すりあわせ」の感覚ご理解いただけましたでしょうか?

2011年4月26日 22:46:56
 視点目次(サイトマップ)作り直しました。視点のどのページに、どういう内容が書かれていたかをお調べになるときの手がかりになれば、と思いまして、。次からは、この「視点」も50ページ目。ずいぶんな量書いてきましたもんね。
 あれ、どこだったけ?と思って、私の「視点」をあちこち見まくったという方もおられるかもしれません。そういう方の手助けには、なるかと、、。
 一度、ご覧になってみてください。
 
 次回は、ページを変えて。


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