知識のしずく「その6」
「選挙制度、政治制度の改革」に関して
私は、じっくり考えるという癖をもっているのですね。
同じ事を、時間をおいて考え、時間をおいて考え、ということをよくします。私の今の仕事に、これは、とても役立っています。
思考の蓄積があるから、お母さん方に瞬時のアドバイスができるのだと確信しています。矛盾しているようですが、思考の積み重ねが、瞬時の判断にいい影響を与えるということは、普段から、よく感じてきていました。
で、教育という私の専門について、じっくり考えているうちに、どうしても、思考が政治に及んでしまうことがあるんです。
で、そうしているうちに、今の政治の根本的な部分に、疑問を持つようになりました。
さらに考えているうちに、繰り返し繰り返し考えているうちに、ひとつの結論めいたものに、たどり着くようになりました。
毎度申し上げていることですが、私がすべて当たっているなどというつもりもありません。皆さんのご参考になれば、と思って、書き出しているわけです。
突然ですが、皆さん、投票って、面倒くさいですよね。なぜでしょうね。
教科書的には、「選挙は国民の大事な権利なので、必ず投票しましょう」という言葉は、間違っていないのですが、皆さん、この言葉に、違和感感じませんか?
その違和感は「自分が投票しに行っても、何も変わらない。選挙結果に何も響かない」という無力感と「投票したい人がいない」という立候補者の顔ぶれに対する不満などから来るのでは、と思っています。
実際、選挙に際して、こういった無力感は、私たちが日ごろ、しばしば感じることではないでしょうか?「選挙なんていってもむだだ」という無力感。
で、これに無力感を感じないために、私たちがいくつか、試みる価値のあると思われるアイデアを提案してみたいと思います。
1、選挙にあたって、立候補者以外も投票できるようにする。
立候補者以外に、投票するなんて、無謀なようですが、可能であると思います。
だって、名前を書いて、投票するのですから、その投票用紙のなかに、立候補者と違う人を書いて、なおかつ、国が、地方公共団体が、あるいは、選挙管理委員会がその投票を有効とし、その投票された人物に、選挙管理委員会が打診し、その人物が受ければ、その任に就ける、というようにすればいいのですから、、。
仮に、投票の多かった人物が就任を拒否したとしても、それは、現職に対する、あるいは、他の立候補者に対する、大きな批判票になるでしょう。
それは、その人たちには、厳しいですが、でも、そんなことをいったら、ビジネスマンだって、毎日、商品を買ってもらったり、買ってもらえなかったり、というきわめて厳しい現実に直面し続けているわけですよね。数年に1回の選挙が厳しくても、決してやりすぎ、ということにはならないかと思います。
市場原理が厳しいように、投票制度、選挙制度も厳しいものにならなければ、いい政治を継続的に担保するのは、難しいといえるでしょう。
同名の人物が複数いたときは、どうするのか、というようなことを言われたり、いろいろと議論の余地はあるかと思いますが、それを防ぐ方法は、いくらでも考えることができるように思います。
たとえば、その人物の生年月日を記してもらうとか、、。そこまで義務付けても、投票したいという人はいるはずです。
逆に投票時間を朝早くから夜遅くまでにしても、行く気がしないと、ひとは、行かないものです。投票率を向上させるという観点からも、この方法は、とても有効であると思います。
2、一人の人間が複数の地方公共団体の長になれるようにする、ということです。たとえば、橋下大阪市長が、市長のままで、ほかの自治体の長に立候補し、当選した場合、その長に就任できるようにするとか、、。
こういうことを言いますと、荒唐無稽(こうとうむけい)なことを私が申しているように思われるかもしれませんが、すでに、このようなことは昔からされている分野があります。
これまた、ビジネスの分野です。
世界をまたにかけた、国際企業の会長、CEOに就かれている方は、枚挙にいとまがないほどでしょう。
一人のトップが、多数の企業を束ねているわけですね。橋下市長が大阪府知事を兼任しても、夕張市長を兼任しても、その方が有能であれば、十分上手に運営できるでしょう。
逆に、無能であれば、ひとつの市でさえ、適切に運営するのが困難であったりするのではないでしょうか?
それを選ぶのは、国民であるはずです。でも、選べない現実があるのですね。
ちなみに、市長(首相)が市議会(国会)に、必ず顔を出さなくてはいけない、というのも、日本では、そうかもしれませんが、世界を見ると、必ずしもそうでない、ということも知っておくといいでしょう。少なくとも、韓国では、議会への出席が義務付けられていない、という話は聞いています。
ヨーロッパもそうらしいです。
イタリアで、ある研究者の方が「日本では、毎回議会に、首相が出席している」とあちらの研究者の方にお話したら、「それじゃあ、首相は、いつ政治をするのですか?」と驚かれたそうです。
ついでに、野党の審議拒否も、「ありえない」と首をかしげていたらしいです。
当たり前ですよね。審議の効率を大きく阻害するものですから、、。
日本人は、ともすれば、形にこだわってしまうところがありますね。物事は、形でなく、実質を大事にすべきだと思います。そうすれば、有能な首長が、不必要に議会に拘束されることなく、複数の自治体を束ねていくことは、可能でしょう。
モンテスキューの「法の精神」以来、私たちの政治制度は、本質的なところでは、あまり変わっていないですね。
国民主権、三権分立ということは、言われていますが、実際の運用において、理想の政治、あるいは、それに近いものがうまく体現されていない、というのが実情のようですね。
というか、三権分立よりも、大事なのは、いい政治家が現れることなのですね。
古今東西、いかなる時代のいかなる政治制度の下でも、国民の幸せは、いい政治家、有能な政治家の出現によるところが多く、有能な政治家は、上杉鷹山(ようざん)という人物をはじめ、たくさんでてきています。で、そういう民意に沿った政治家がもっとも高い確率で出るのが民主主義なのでしょうが、しかし、実際の私たちは、投票時に、それがかなわない無力感を味わっているわけですね。
で、そう感じるのは、私たちの感覚がおかしいのではなく、やはり、このシステムのどこかに、そう感じさせる何かがあるのでしょう。
私たちが、必ずしものぞんでいないような政治家が、私たちの代表であるかのように振る舞い、でも、どこか、私たちは、その方々が自分たちを代表しているとは思えないようなものを感じていますよね。
それは、「投票の自由」みたいなものが保障されていなかったからなんですね。これは、今の選挙制度の大きな欠点です。自由に、だれにでも投票できる、投票される側も、できるだけ現職をやめずに、立候補できる、就任できるという自由を確保されたら、私たちの投票行動も大きく変わることでしょう。
私たちは、きわめて、不自由な投票を強いられてきたわけですね。
もし仮に、橋下さんが、京都府知事になり、さらに、東京都知事になり、夕張市長になりと、全国を「制覇」していったら、一方で、東国原さんが、九州のほとんどの知事になってしまったら、まさに、自由な競争が促進され、より有能な政治家が、国民にわかりやすい形ででてくることでしょう。
有能な政治家にとって、九州全土の政治を行うことなど、そんなに難しくないはずです。
また、たとえば、ソフトバンクのトップである孫さんが、政治家になれる道が開かれてもいいと思います。政治と企業の癒着が心配されるかもしれませんが、それは、その部分に関して、透明化をする工夫をして行けばいいのであって、純粋な政治家よりも、有能な企業家のほうが、国民のために、いい仕事をしてくれると思うのですが、いかがでしょう?
無能な政治家は、仮に自分が会社を経営していないとしても、自分の親戚や知り合いなどが経営する企業をこっそり優遇するなんてことは、したりしますし、コネで役人を雇ったりもしているかもしれません。
そんなの、かげでこっそりやろうとする人はいます。
これだけ、反原発ムードが盛り上がっているのに、原発の立地している県の首長が、原発の再稼動に前向きだったりしますよね。なぜでしょうね?お金が流れていると勘ぐるかたがおられても、不思議ではありませんよね。
私は、そういう方々は、真っ先に反対を表明されると思っていただけに、驚きました。
「純粋な政治家」だから、不正がない、みたいなことは、現実には、いえないような気もします。逆に、「兼業する政治家」が不正をするか、というと、そうともいえない気もしませんか?
私は、孫さんのような方は、志が高いだけに、純粋な政治家よりも、悪いことはしないかと思うのですが、それも含めて、任に適するかは、国民の投票にゆだねられるべきでしょう。
「純粋な政治家」を求めるあまり、「兼業できない政治家」を志向し、本来でしたら、きわめて、政治的にも高い能力を持っている人が、潜在的に排除されていることが、本当に私たちのためになっているのか、一考の余地はあると思うのですが、いかがでしょう?
そういうのも含め、だれが適任かは、国民が決めることではないでしょうか?
「兼業する政治家」は、だめだと言う人がいてもいいし、そういう政治家でも、有能な方でしたら、かまわないと思われる方がいてもいいと思います。
最終的に、それは、選挙という形で決着させればいいのだと思います。
そもそも、有能な方は、民間で、きわめて高い収入を得ていますから、それをなげうって、政治の世界に入るというのは、よっぽど「奇特な」人ですよね。
橋元市長も、政治家になって、収入が激減したということを聞いています。お金のことだけを考えたら、この方のように、政治家になろうという人は、割に合わないわけですね。そういう方が、自身の仕事をなげうたずに、政治でも手腕を発揮できる道を作ってあげてもいいような気がします。
このまえの京都市長選も立候補者は2人だけでした。そのどちらにも、不満な人は、誰にも投票できないのですね。
投票に行きたくない人がでても、致し方ないのではないでしょうか?
こういう意味でも、「投票の自由化}「選挙の自由化」みたいなものが求められるでしょう。
国会議員に関しても、同様の自由化が考えられるでしょう。一人の候補者が複数の選挙区に立候補できるようにするわけです。
で、複数の区を代表する議員が生じるわけですね。議決に関して、複数の議決権をもつ政治家が出てくるわけです。たとえば、ふたつの選挙区にまたがって、当選した人は、議決権を2人分持ち、給料は2人分をもらうわけではないけど、秘書を2人分抱え込むことができるようにするんです。50の区でしたら、50人分の秘書を抱えられる。
そうすると、おのずから、議員定数の削減が可能になります。
さらに、いいことは、それによって、多くの無能な議員の排除が行われるということです。私の尊敬する勝海舟は、「日本一国くらい、俺一人で、十分だ」というようなことを言いましたが、これは、この人のやったことを知れば、決して大言壮語ではないといえるでしょう。
現実の政治場面でみても、無能な複数の政治家より一人の有能な政治家のほうが結果がいいだろうということは、容易に想像がつくでしょう。
そうすると、極端な話、議員の数は、内閣の閣僚の数よりも少ないということになるかもしれません。でも、その少ない議員は、有能な上に、多数の秘書を抱えていますから、ものすごいいい仕事ができる可能性が高くなります。
地方のご機嫌伺いのために、秘書を使うというのに、神経を使わなくても、当選するする人たちでしょうから、秘書を本当に国のために使うことができますね。
このほうが有能な政治家の出る余地が十分あると言えるでしょう。
一人の政治家が全国のすべての選挙区を獲得してしまうというような(現実にはありえないような気もしますが、可能性はありますね)ことが起きれば、まずいと言うのでしたら、議員一人当たりの獲得できる選挙区の数の上限を決めればいいのだと思います。
有能な者同士の選挙戦があちこちで行われ、国民の関心もつよく、さらに、上で述べた、だれにでも投票できるというシステムがあれば、国民は大いに選挙に関心をもつことでしょう。
似たりよったりの候補者の少数の選択肢の中から選ぶから、私たちは、選挙に失望し、権利を行使したいと思わなくなるのでしょう。
「投票の自由化」ということに関していいますと、いきなり、これを国政選挙みたいなので実施すると、予想できない混乱に出くわすかもしれません。地方議会のひとつで、実験的に実施してみて、その効果のほどなどを検証すべきでしょう。
つまり、小さな選挙区で、ためしにしてみるということが、必要になってこようかと思っています。で、これでうまく行くということになったら、全国展開をしていったら、いいのだと思います。
こういう意味での、投票の自由、選挙の自由が保障されれば、むだな議員がおのずから、排除され、国、地方公共団体は、ものすごく効率的に、かつ「民意に沿って」運営されていくかと思うのですが、いかがでしょう?
ちなみに、いずれ、ネットから投票できるようにして、そのシステムを構築して、そのノウハウを外国に売り込むということも考えていくといいと思います。
これは、国が強力にバックアップしていっていい分野だと思います。
いまだにこれが実現されている国がありません。
いろいろ難しいことがあるのでしょう。でも、難しいから、やる価値はあり、市場も大きいと認識すべきでしょう。不正をする人間が比較的少ない国民で、構成されている日本という国では、難しい中でももっとも導入が簡単なのでは、という気もしています。だから、最初に導入して、一度の総選挙にかかるコスト(7億円と聞いたことがあります)を大幅に削減できますね。
しかも、それが日本でうまくいったという事例が増えていけば、ほかの国でも導入への機運が高まるでしょうから、そのシステム、ノウハウを輸出すれば、日本の企業は大いに潤うことでしょう。
皆様の何らかのご参考になれば、、。
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