知識のしずく「その5」


「勉強しろと言わないように」ということに関して

 「勉強しろと言わないように」と指導される塾や家庭教師の方がおられますね。これは、少しだけ正確さを欠く表現だな、と常々思っていました。

 今回は、これについて、触れておきましょう。

 「勉強をしろといわないように」という表現は、きわめて、危険な表現だと私は思っています。

 第一に、「勉強しろ」などという露骨な言葉ではないですが、それに類する表現を、私たちはしなければならないときが、どうしてもあるように思います。
 私自身は、わが子には、それに類するようなことを言ったこともほとんどありませんが、でも、教えていて、やはり、やわらかい表現ながら、それに類する(つまり、「勉強をしてね」に類する)ようなことを言ったりしますし、ご家庭の親御さんが、言うべきか迷われているときは、言い方に気をつけて、というアドバイスを差し上げて、言っていただいています。
 というのは、何も言わなければ、勉強しない、という子がいるのも事実だからです。

 いずれ、何も言わなくても勉強できる子にもっていく必要はあるものの、まだ「離陸」(これは、私独特の言い回しで、子どもたちが、自立的に勉強できるようになる途上を意味します。この離陸が上手にできるかがとても重要です。失敗すると、「地上に落ち」ます。つまり、子どもはやる気を再び失います。「離陸」については、私のホームページの視点目次(サイトマップから、視点シリーズをお読みいただければ、その具体例に触れることができるかと思います)していない子には、少しだけ、「機体を持ち上げる」ような、かかわりが必要と思われるときがあります。
 一度離陸してしまうと、親御さんは、ぼうっとしていても、子どもはがんばります。親御さんのやることは、せいぜい「えらいね」「すごいね」「ありがとう」というメッセージを伝えるくらいで、大丈夫でしょう。もちろん、勉強を(わかるように!)教える、という行為が必要な子もいますけど、、。

 これは、あくまで、子どもさんによっては、ということで、そういうこと(「勉強してね」というようなこと)を言わなくても、急にがんばりだしてくれるという子はいますし、そういう子の方が多いと思います。
 これを、お母さん方によっては、「田口先生の魔法」などと言ってくださる方がいますが、それは、私が、これだけ長い間この仕事をしていれば、当たり前の結果ともいえるものです。

 でも、その「魔法」が、当初効き目が弱い子がいたりもします。そういう子には、最初だけ、「機体を少し押してあげる」「機体を少しだけ支えてあげる」というような、かかわりは、必要であったりするような気もしています。

 第2に、「勉強しろと言わないように」ではなく、「勉強しろといわなくてもすむような子に育てましょう」というほうが表現が適切で、そうなったら、勉強しろなどといわなくても、子どもたちは動きますし、私たちは自然と「勉強しろと言わないように」なるし、なれるのだと思います。
 そういう子に育てることが、教育者の仕事であり、「勉強しろというな」という表現には、能力のない教師が、わけもわからずに、でも、とりあえず、わかったふりをして、不正確な表現を使ってしまっているのではないかとも思ってしまいます。
 少なくとも、私には、その意図しているところが不明です。

 というのも、「勉強しろといわなくてもいい子」に育てるには、つまり「離陸」させるには、その子その子によって異なる相応の工夫と努力が必要になると思われるからです。


 なお、世間では「放任主義がいいんだ」と思われている方がいますが、私は「放任主義」もリスクがあると感じています。

 そもそも放任主義がいいのでしたら、つまり子どもが勝手に育つということになるということでしたら、教育はいらないというようにも感じます。親の背を見せるのでさえ、教育なのです。
 で、親の背でさえ見ない子もいるのです。そういうときは、何かの工夫が必要でしょう。

 さらに突き詰めれば、「教育」というものは、親や教師の子供たちに対するかかわりを意味しているところがあるので、放任主義とはかけ離れたものともいえると思います。

 繰り返しますと、問題は、何も言わずにほうっておいて、がんばる子もいますが、がんばらない子もいるということですね。
 そういう子には、相応のかかわりをしなければ、ならないということですね。

 それが、いろんなところで、書いていますが、「ポイントをおさえて、ほうっておく」ということになるのだと思います。子どもの「離陸」には、飛行機の操縦と同じくらい知識と知恵が必要なのだと思います。
 どうポイントをおさえ、どうほうっておくのか、は家庭教師田口の視点(1ページ目)以降の「視点」シリーズにある具体例から、ヒントを得ていただければ、と思います。

 「離陸」させるための知恵と努力を知っているものは、そう気楽に「勉強しろといわないでください」なととはいえないのではないかと思います。


                             2012年4月1日〜4月12日記す


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