知識のしずく「その3」
「変質者によって、子どもが殺されないために」
変質者に、子どもが殺される事例が多発したことがありましたね。そういうことがおきるたびに、議論されるのは、子どもを、どうして、そういう危険な状況から守るか、危険な状況におかないか、ということですね。
もちろん、それはそれで、とても大事ですが、一方で、子どもに「変質者に捕まったら、どうするのか」ということをも、伝えておかないのは、片手落ち、という感じがします。
それは、地震が起きるのを予知するということに重点を置いて、予知が失敗して(実際、予知が当たることのほうが少ない感じもしますが)いざ地震が起きたというときに、どうしたらいいか、というのを考えないというのと、同じような行為であるように思います。
実際、私たちがいくら気をつけていても、「死角」は、あったりするのが、現状でしょう。私たちに、大地震が起きる確率と、子どもが変質者につかまる確率には、そんなに差異は、ないのではないかと思うのですが、いかがでしょう?
、子どもたちは、気をつけていても、いつ、変質者につかまるかもしれません。
そういうときに備えて、私たちは子どもたちに言うべきことがあると思われます。
「万が一変質者につかまったら、泣くな。殺されるよ」というメッセージです。
それは、大声を上げて泣きじゃくる子を目の前にしたときの変質者の気持ちを想像すれば、おわかりになることでしょう。
変質者たちは、幼い子をつかまえたと思った次の瞬間に、子どもに泣かれたりすると、あるいは、大声を出されたりすると、周りにそれが聞かれるのを恐れて、その子どもをとっさに殺そうとしてくると思われます。その行動は、後先を考えない、本能のようなものかもしれません。
変質者と子どもとの間に距離があり、逃げ切れそうな場合は、大声を出してもいいでしょうし、防犯ベルを鳴らしてもいいでしょう。周りから見られるのを嫌がる、変質者たちは、おそらく、すぐに行方(ゆくえ)をくらまそうとするでしょう。
でも、完全につかまって、逃げられないとわかったら、おとなしくするしかありません。泣かぬこと、むしろ、その変質者と親しくすること、それが身を守る最善の策でしょう。
つまり、つかまる前と、つかまったあとでは、子どもは正反対の行動をとらざるをえません。それを、ただ、変質者は怖い存在で、そういう存在から、いかに逃げるかだけを教えると、子どもはつかまったとき、恐怖のあまり、パニック状態になり、激しくわめき、それに逆上した変質者に命を奪われることになりかねません。
ここでも、子どもに、きちんと変質者の心理を理解した上でのアドバイスを、しっかりしておく必要があります。
私は、「知識は身を助ける」という言葉をよく使うのですが、ここでも、重要な視点ですね。
ところで、変質者につかまらないということだけを考えてしまうというのは、「幼い子供は、自分でしっかりした行動はできない未熟な存在だから、周りが守ってあげなければ」という発想からきているのかもしれませんが、私の経験では、必ずしも、そうではなく、かなり幼い子でも、きちんと、事前に説明しておけば、きちんと行動するように思われます。
つかまったときを想定して、きちんと説明をしてあげれば、、。
私は、自分の子どもたちには、「変質者に、つかまった以上は、どんないやなことをされても、とにかく、泣きわめいたり、大声を上げたりしないように」と伝えています。
私は、きれいな死よりも、どんなにみっともなくても、しぶとく生きることを選ぶ人間です。人様からどんなにみっともなく見えても、じっと辛抱して、生き抜く。そこにむしろ「美しさ」を感じるほうです。ですから、子どもにも、どんなに惨めな思いをしても、生き抜いてほしいと思っています。
そういえば、1年くらい前のことでしょうか、、娘から、「学校の行き帰り、工事現場のおじさんから声をかけられる。どうしよう」という相談をうけました。
私は、いろいろその「おじさん」について、聞き出した上で、「そのおじさんは、大丈夫。絶対いやな顔をしてはだめだよ。そうしたら、おかしなことをしてくる人ではないよ。逆にいやな顔をしたら、何かのときに、いやな思いをするかもしれないよ」と伝えました。
娘は、その私のアドバイスにしたがって、そのおじさんとなかよくなりました。娘は「あのおじさんは、私だけに声をかけてくるんだけど、どうしてなんだろう。ほかの子には目もくれず、、」とずっと、不思議に思っている感じでしたが、、。
私は、「A(娘の名)ちゃんが、そういう声をかけやすいオーラを発しているからかもね」と答えました。
で、その後しばらくしてから、その工事現場は、終了となり、娘はそのおじさんとお別れになりました。
娘は、おじさんとのお別れの日、少しさびしかった、と言っていました。
で、つい最近のこと、娘は「私、おじさんたち、得意だよ」と言ってきました。
どうも、ちょっと前にタクシーに乗ったとき、タクシーのおじさんと、とてもフランクに話せるようになったらしいです。
もともとは、人見知りのとても強い子だったのですが、経験をつむ中で、他人とのかかわりに熟達していった、という感じでしょうか?
私は、この娘にも、息子にも、「変質者につかまったら、泣いてはいけないよ。殺されるからね」という話をしています。
似たような状況でも、少し条件が違えば、こちらのとるべき行動も大幅に違ってくる、ということを、子どもには理解してもらう、いい機会だとも思って、。
2012年3月14日記す
追記(2012年9月26日記す)
以下(茶色で記された部分)は、2012年9月6日の朝日新聞の記事の一部抜粋です。広島で塾帰りの子がかばんに押し込まれた事件について、報じたものです。この記事に直接触れられてはいませんが、この子は、明らかに、泣いたりわめいたりせず、じっとしていましたよね。かばんの中に押し込められながら、、。ご両親が、このあたり、事前にきちんと伝えられていたのか、本人がもともと賢い子で、しっかり行動できたのかわかりませんが、この懸命な行動が、彼女の命を救ったと言えるでしょう。
立派な子ですね。いざというときの振る舞いを、きちんと伝えられていたとしたら、ご両親も立派だったといえるででしょう。
広島市で塾帰りの小学6年生の女児(12)が4日に旅行かばんに押し込まれて連れ去られた事件で、監禁容疑で逮捕された、、(中略)、、容疑者(20)が広島県警に対し「女児に乱暴しようと思った」などと供述していることが捜査関係者への取材で分かった。
(中略)
小玉容疑者は、女児を押し込んだかばんとともに乗車したタクシーの運転手に広島駅の方に行くよう指示。調べに対し「乱暴しようと、タクシーの中で思うようになった」と説明していることなどから、県警は女児をホテルに連れ込もうとしたとみている。
成城大によると、小玉容疑者は居合の同好会に所属。在学3年目だが、留年した。県警に対して「大学生活がうまくいかず、嫌気がさしていた」「逮捕されたかった」などの供述もしているといい(田口注:このことからも、一時的な感情で、容疑者が行動していたらしいことが分かりますね。だからこそ、子どもの側の冷静な対応が必要なのですね。そういう意味で、この子は、立派だったといえるでしょう。もちろん、容疑者を捕まえたタクシー運転手の見事な行動がたたえられるべきということも付記しておかねばなりませんね)、県警はさらに詳しい動機を調べる。
県警によると、女児は4日夜、友人と一緒に塾をでて、近くのバス停付近で母親の迎えを待っていた。小玉容疑者が声をかけたのは、友人が先に帰り、女児が1人になったときだった。果物ナイフを突きつけて近くの細い路地に連れていき、両手を粘着テープで縛ってかばんに入るよう脅したという。女児は小玉容疑者と面識はなく、県警に「(脅されて)怖くなってかばんに入った」という趣旨の話をしているという。
(後略)
ずっと、このような子に、新聞記事などで、出会うことがほとんどなかったので、このページを作らせていただきました。今後も、こういう子が増えていくことを望むばかりです。多少なりと、その一助となれば、、。
いじめられないために。いじめをなくすために。知識のしずく「その1」
学校からいじめをなくすには。知識のしずく「その2」
変質者によって、子どもが殺されないために。知識のしずく「その3」
兄弟姉妹げんかをなくす方法。知識のしずく「その4」
「勉強しろと言わないように」ということに関して。知識のしずく「その5}
「選挙制度、政治制度の改革」に関して。知識のしずく「その6」
政治への向き合い方について。知識のしずく「その7}
大学入試改革の問題点について。知識のしずく「その8」
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