家庭教師田口の視点(7ページ目)


2003年5月4日 1:36:29
 以前、私は、娘に、駄々をこねられたことがありました。めったに駄々をこねられたことがなく、それが自慢だったのですが、、、。
 事のしだいをお話いたしましょう。大きな電気屋さんに行って、私は、娘に、おもちゃ売り場の近くに連れて行かれ、おもちゃを買ってぇええ、と騒がれて、久しぶりに大変な思いをしました。世間で、よく見かける光景なので、このときの様子と、私の困惑ぶりはご想像いただけるかと思います。
 原因は、前そこに行ったとき、私が、気軽に、おもちゃを買ってあげたことに、どうもあったようです。私は、そのときの軽率さを、とても反省しました。娘からしたら、前に何も言わずに買ってあげたら、次にも、また買ってくれると思うのは当然だと、、、、。
 ちなみに今は、娘にまったくおもちゃを買ってあげていません。でも、娘は何も文句を言いません。あの時あれほど、騒いだ子が、不思議に思いませんか。でも本当ですよ。 一緒におもちゃ売り場へ行っても、娘は、一切、買って、とは言いません。
 なぜかというと、以前、私にちょっとした意地悪(おかしをひとりじめ)をしたので、私が、「なら、今後はおもちゃを一切買ってあげないよ」(別におこっていっているわけではないです。むしろ淡々と、友達と語るような口調で、、。娘も怒られているとはとっていないでしょう。そのあたりを勘違いして、私に意見を言ってきたのは、妻でした。妻いわく、「何をムキになっているの?」。このあたりが普通の大人の感覚でしょうか。妻でなくとも、そう思のでは、とも思います)といって、1回は許したのですが、2回目に、そうしたときは、もう何があっても買ってあげないからね、と最後通告をして(娘はうなずいていました)、本当に買ってあげていません。一緒に、おもちゃ売り場へ行っても、パパは買ってくれないんだよね、と納得しています。私は、うなずきながら、娘と一緒に、おもちゃをながめているだけです。これおもしろそうだね、とかいいながら、、、。本人にとっては、とても過酷な条件なのに、決して駄々をこねたりしません。周りの大人たちから見たら、かわいそうに、ということになるのでしょうが、本人の気持ちの中では、とてもすっきりしているようで、子供の気持ちと、それをとらえる、一般の大人たちの視点のギャップをとても面白いと思いました。
 ここからいえることは、子供は、条件が過酷だから、駄々をこねる(親の言うことをきかない)のではなく、親が、あるいは、周りの人間が、判りにくい行動をするから、駄々をこねるのだということだと思います。
 このことは、年齢がいくつの子供でもいえることではないかと思っています。
 少なくとも、子供が不幸と感じていることと、親が不幸と感じていることの間には、かなりギャップがあるのではないか、という視点は、持ち続けたほうがよいように思います。
 最後に、一言。娘を、よく引き合いに出しているのは、二つ理由があります。ひとつは、自分の家庭のことなので、かなり詳細に記しても、比較的プライバシーを気にしなくてすむこと。もうひとつは、私と娘の関係は、親子の関係であり、先生と生徒の関係ではないため、ご家庭の参考になるのではないかと思われることです。どちらの関係にしても、基本は同じだと思いますけど、、、。

2003年5月11日 4:15:54
 先日、部屋においてあった発泡スチロールの箱が、ゆかに、長い間の、中の荷物の重みのせいか、へばりついてしまっていました。で、無理やりはがしたら、へばりついた部分が、薄い紙のようにくっついてしまいました。手ではがそうとしましたが、はがれません。雑巾をぬらして、こすったところ、少しはがれましたが、思うようにはがれません。今度は、雑巾をゆるめにしぼって、それでこすったところ、結構すんなりいきました。そんなの当たり前よ、って主婦の方からは言われそうですが、私にとっては、あたり前ではなかったんです。とにかく、水の量を変えるだけで、こうも変わるものかと、何か不思議な気がしました。
 そのとき、何か悟ったような気分になりました。世の中の物事ってこういうものかな、と、、、。子供に対するかかわりもそうだし、企業の経営もそうだし、、、ほんのちょっと工夫するだけで、ずいぶんと違う結果を得ることがあると思います。私が、必死になって、固く絞った雑巾をこすっている姿は、ときに、ご家庭のご両親が、頭ごなしに、子供さんをしかられている姿と、あとで、一瞬ダブって見えました。そんなに力んでも結果がうまくいかないのでしたら、ほんのちょっと視点を変えて見られたら(決して、おこることがいけない、ということではありません)、、、、と思ったりもします。そのヒントは、このホームページに豊富にあるはずです。
 私がここで書いていることは、どのご家庭でも、すぐに実践できそうなもので(実際は、なかなかまねのできないノウハウも持っていますが、意味がないので、公開していません)、具体例を交えながら、子供さんとかかわるときのヒントにしていただけたら、と思っています。でも、私には、簡単そうに見えることが、実際のご家庭では、なかなか難しいように見えるのも事実です。そんなに難しいことを申し上げているつもりもないですが、結局、私を頼ってこられる方も結構いらっしゃいます(もし、教育で悩まれている方がいらっしゃったら、世間には、悩まれているお宅のほうが多いと思われたほうが、つまり、どなたでも悩んでいるのだと思われるほうが、よいと思います。表には、出ていないだけの事で、、)。私の仕事は、教えるだけではないと思っているので、むしろ、私の大事な仕事の1つは、子供さんに対する、ケアーだとも思っているので、別に、いや、まったくかまいませんが、、、。そんなにむずかしいですか?
 たとえば、せっかくやる気満々になっている(あるいは、私がそのように持っていった)子に「余計なこと」を言って、かえってやる気をなくさせてしまったり、、、。お母さんとしては余計なことではないのかもしれません。そうしたお母さんがたの口から出てくるのは、
「どうしても、言ってしまうんですよ。心配なものですから、、、。」
 とてもよくわかります。でも、私もこの仕事に人生をかけているつもりです。しかもこの仕事は、時間を争う仕事です。私は、言いたいのを抑えられるかも、一種の能力だと思っています。私は、そういうお母さんには、
「それは、お母さんのご自由ですが、ただ、それによって、子供さんがやる気をなくし、結果として、わるい方向に向かうかもしれないということは覚えておいていただけたら、と思います」
とお話しする場合が多いです。自覚のおありのご両親にしつこくお話しするのは、私の好むところではありません。でも、こちらも必死なときです。ですから、それでも変わらない場合は、子供さんのほうに、
「気にするな。気にしたら、負けだよ」
と伝えておきます。例によって、子供のほうが、きちんと行動してくれる場合が多いです。ほかのどこかでも、具体的に触れたこともあるかと思いますが、私は本人をはげますにしても、ご両親とは、あたかも正反対のようなアプローチをすることがあります。
 話は変わりますが、もう故人で、松下幸之助という、松下電工を創業した偉い人がいましたが、この人に、企業経営のコツを、ある人が聞いたところ、「雨の日にかさをさす」ことだ、といわれたらしいです。わかったようなわからないような言葉ですね。この人が言うから、みんなへーなんていってきくのでしょうけど、普通の人が言ったら相手にされない言葉でしょう。言わんとしてることは、何も難しいことをする必要はないということでしょうか。この人にとっては企業経営なんて、いとも簡単なことなのに、普通の凡人である私たちにとっては、きわめて難しいものになってしまう、同じことをしても、する人によって、180度も違う結果が出てしまう、というのは、この世の中の面白いことだと思います。とてもおもしろい話だと思います。
 ところで、何度か、私が教えた子から、
「まえ教えてもらってた家庭教師が、30分や1時間もかけて説明しようとして、結局よくわからなかったところを、田口先生は、5分か10分で説明しちゃう。すごい」
などといわれたことがあります。
「僕はプロだよ(笑)」
 
2003年5月15日 3:20:11
 (つづき)私などが、こんな風に自慢げに言ったりすると、人によっては、違和感を感じられる人がいるかもしれませんし、私も、場の雰囲気をわからずに自慢することを好む人間では、ありません。あくまでも、場の雰囲気と相手を考えて、こういう言葉を伝えます。時には、にこっと笑いながら、、、。あるいは、わざと無表情に、、、。
 ちなみに、あの、松下幸之助という人も、書かれた本を読むと、結構自慢しい、なのですが、でも決して違和感を感じさせないところがあって、それがえらいと思います。ものの言い方に全然、力(りき)みがない、実に淡々と自慢話を展開して、いやみっぽさがまったくない。これはすごいことだなあ、って思います。
 この人のエピソード、もうひとつ書き添えましょう。あるとき、あるビルに支店を構えることになりました。でも、そのフロアーが、13階だったそうです。幹部の一人が、
「社長、13は縁起が悪いですね。違うところにされてはいかがでしょう」
といいました。松下さんいわく、
君、それは「富(とみ)」と読むんだよ
 もちろん、その支店は予定どおりにおかれ、実際、とてもうまくいったということのようです。プラス思考と、その見事な「返し」がえらいなあと思いました。私自身は、受験での経験から、縁起をかつがないことが最もよい縁起かつぎと思っています。だから、私だったら、「下らんことを考えるのはやめたら、、、」くらいをいって、かの幹部の親切心をしぼませてしまったかもしれません。えらい人は、誰も傷つけずに、物事をうまい方向に持っていってしまう能力をどこかで身につけてきたのでしょうね。
 偉い(地位が高いという意味ではありません)人は、普遍(ふへん)的な(どこでも通用する)えらさを持っているわけで、人とのかかわりを考える上で、学ぶ点が多いです。
 ちなみに、私は、こういうかかわりの一般的な知恵を、中国や日本の古典から、得ることが多いです。英語の本も読んだりしますが、これは、というのに出会ったのは、1冊くらいです。面白い、おかしいという本はどこの世界にもあるようですが、、。西洋のは、哲学的なものでは、私たち日本人には、どうもしっくり来ない気がしています。その点、東洋の古典は、わが意を得たり、というような本が多いです。中国の「老子」、日本の江戸時代の「言志四禄(げんししろく)」は私が繰り返し読んで、学んでいる本です。お読みになったら、と申し上げても、とっつきにくいですかね。
 でもね、長年風雪に耐えてきた、古典に比べると、現代の書物は、生きる知恵を得るには、浅い気がしています。仕事がら、古典に触れる機会は多いと思いますけど、だからといって、何でかんで、古典というつもりもありません。ただ、どうしても古典にいってしまうんです。私だって、現代文のほうが、読みやすいんですよ。
 ところで、今、構文把握の練習を兼ねて、「源氏物語」も読んでいるのですが、いまだにあれをどう楽しんだらいいか、わかりません。でも、名作なんですよね。、、、、。京都市内にある、紫式部のお墓には、2度ほど、おじゃまさせていただいたことがありますが、正直、私は、こちらの、ひっそりした、お墓のほうにひかれます。初めて、発見したのは、市内をぶらぶら歩いていたときに、偶然見つけて、、、。日常生活で、こういう体験するって、京都らしいでしょ。このことのすごさを、こちらの方(かた)は、あまりお分かりになられないみたいで、私などの、外から来た人間の驚きは、なかなか理解していただけない感じがしています。ところで、お墓には、2度とも、お花が添えられていたように思うのですが、どなたが、そうされているのでしょうね。
 ちなみに、この紫式部という人は、確か、「枕草子」の作者の清少納言に比べれば、とても幸せな人生を送った方のようですが、この方の生き方をつぶさに見れば、むべなるかな(もっともだなあ)、という気もしています。清少納言とは対照的に、きわめて控えめな、生き方をしていたとか。それよりも、この方の著作が、いまだに不朽の名作になっていることが、作家冥利(みょうり)に尽きるのではないかと思います。
 私も、不朽の名HPを作らなければ、、、。
 また、本のほうでは、文庫を作りませんか、というお誘いがあります。今度も気合を入れて名作を、、、。??いや、どうしよう。のんびりしたい。何よりも、仕事優先。私は、この仕事のおかげで、食べさせていただいているのだから、、、。
 しばらくは、このホームページをマイペースで、、、。
 まえ本書いたときも、書かずにいられない衝動みたいなものが、私にそうさせたような気がしています。2週間で、たしか原稿用紙218枚を書き上げたほどの衝動は、今の私にはなさそうです。いずれそういうときがくるでしょう。私は、そういう人間です。きっと、、。

2003年5月18日 15:16:29
 神戸のお宅うまくいっているみたいです。私としては、ノウハウ(個々の子供ごとに設定した)を提供した以上は、ほとんど指をくわえてみているしかないのです(こまめに連絡を取り合ってはいますが、、、。これは、メールだけのアフターケアで、無料奉仕です)が、予想以上に、私に代わってくれた方が、ノウハウを運用してくださって、しかも熱心に教えてくださって、かなりわかりやすい形で変化がおきていると思います。
 あまり詳しく記述すると、プライバシーの問題があると思われますので、簡単にこのあたりを記しておきます。
 言っておきますが、先方もこのホームページを読まれていますし、私に代わって教えてくださっている方も、このホームページをご覧になっています。私がうそをつたえていたら、訂正を求められるでしょう。1,2週間たってもこの記述に変化がなかったら、私のここで(このあとで)申し上げていることは、真実と思ってください。ホームページ全体で、私の申し上げていることはできるだけ事実に沿っているつもりですが、もしかしたら、何を大げさな、といわれるかもしれないので、一言。決して大げさに申してはいません!プライバシーを気にしつつ、これでも、おさえて書いているんです。
 おおい、誰か、私のこの立場を弁護してぇ、などと押し付けがましいことを言わないのが私の主義。ある方にちらっと、掲示板によかったら(本当に「よかったら」)、書きませんか、って聞いてみたら、
「ほかの人をよそおって書き込みましょうか」
って言われて、
「そこまでむりしなくても、、、」
と申し上げました(だいたい、そんなのあり???)。掲示板に書くのってそんなに勇気いるのか。
 まあ、ホームページ全体を見てくださった方でしたら、本を読んでくださった方でしたら、私の真実はわかってくださるでしょう。
 で、かのお宅、
「無理やり勉強させようとする親とどうにかそれから逃れようとする子供、ひどい悪循環に陥ってしまったようです」
というお母さんの、かつてのコメントが、今では、
「本人はだいぶ積極的になり部活にまじめに参加しております。これはまえはみられなかったことです」
になりました(本当は、もっといっぱい書いてくださっている方なのですけど、やはり、プライバシーが気になるので、ほんの一部だけ)。もちろん、宿題をきちんとやるようになりつつある(どころか、多めにやることもある)ことは、私に代わってくださっている先生のメールからもわかります。ここ3ヶ月間の変化です(厳密に言えば、私が教え始めた直後から、変化が出ています。勉強から逃げていた子が、週5回来てくれ、と2日目に私に言ってくるってすごくありませんか?これって自画自賛ってやつ??あちらは、最初は、純粋に教えることしかしなかったと思うんですけど、、。まずは、私の教える能力だけで勝負したんです)。正直、部活にも影響を与えているとは、、、。私のノウハウが、他人を通じて実現した、初めての経験です。よい人を得たと、私に代わってくださった方に感謝しています。今までの塾、家庭教師では、ほとんど、結果が出なかったらしい(だから、遠方の私に依頼されたということのようです)、ということも付記しておきます。

2003年5月20日 11:45:30
 マメ知識。今頃は、日本のほとんどのところで、週に1回、決まった曜日(の前後)に雨が降ったりしていませんか。これ、きっと移動性高気圧のせいだと思うんですよ。天気図を見ていただいたら、わかると思うんですけど、西から、東へ、高気圧と、低気圧が交互に動いていませんか。偏西風というやつに吹かれながらなんですけど、、。で、この低気圧、高気圧、低気圧というサイクルが、ちょうど7日間みたいなんです。これは、おそらく、西洋でも、同じようなんでしょうね。1週間イコール7日って、ずいぶん中途半端だと思いません?でも、こう考えたら、結構わかる気がするでしょ。きっと昔の人は、天候の移り変わりを見て、1週間という単位を決めたんでしょうね。これは、小学理科(中学受験)で習う範囲に私の推測を加えてみたものです。だから、京都の人は、また来週の今頃雨にあうことを覚悟せねば、、、。ちょっと難しかったですか。

2003年5月26日 13:50:33
 私の教えている、あるお宅で、最近「連絡ノート」を始めました。お母さんとの、交換日誌、という類(たぐい)のものですが、先日読ませていただいたら、とても文章が上手で、それで、ご本人に文章を掲載させてもらってもいいか、お聞きしたら、かまわないとのこと。早速、掲載させていただきます。
 ご本人が、このホームページをお読みになっているかは、わかりませんが、今は、大学にいっている娘さん(もちろん全教科私が教えて、受かりました。学校の先生から、「よく受かったなあ」みたいなことを言われたみたいです。エヘン!お母さん似のとてもかわいらしい子ですが、根性もありました。私が教える前は、結構怠けていたみたいですが、、、。教え始めた、受験の9ヶ月くらい前の時点で、September の意味がわからなかったって知ったとき、正直、ヤバーって思いました。当時中学生の弟さんに笑われてたっけ)は、よく読んでくれていたらしいということを記憶しています。下は、そのお母さんの私が今教えている息子(弟)さんについてです。

 「先日、テレビで、元巨人の角選手が、最近の少年野球の子供たちは、挨拶しない、大声を出さない子が増えている、と話されていました。理由は、母親だそうです。子供が何かしようとする前に、すべてしてしまう母親、食事のときに子供が「おかわり」という前に、「おかわりは?」と聞く母親、まさしく私のことです。
 息子が、言っているのかいないのか、わからない、あの返事の仕方も、そういう育て方をした積み重ねの結果だろうかと思います。待つこと、聞き上手であることの大切さを実感しています。はがゆいところもありますが、長い目で、見てくださるよう、お願いします。
 宿題、ちゃんとできたのか、わかりませんが、自分のペースでの、切り替えは、かなりできるようになってきたと思います。
 今は、静かに、見守っていきます


 1字もいじらず(実名のところは、「息子」に変えましたが、、、。本人は、実名でもかまわないといっていますが、一応、、)、掲載しました。字も素敵なんですけどね、、、。私からどうご返答したかは、次回掲載いたします。

2003年6月2日 1:50:59
 (つづき)私が、どうお答えしたか、記しましょう。
 「(彼について)あまり気にされることはないと思います。僕は、1つの個性と思いますし、深刻なほど(人とのコミュニケーションがとれないほど)ではないので、問題はないと思います。
 それより、お母さんの文章上手ですね。なかなかいい内容なので、ホームページにいただけませんか。プライバシーに配慮して、書き込みますので、、、。
 今日もよく集中できています。学校の宿題のため、僕の宿題があまりできていませんでしたが、仕方ないでしょう


 確かに彼は、無口です。普通の人だったら、もう少し、しゃべろ、って言いたくなるようなところがあるかもしれません。しかし、必要最少限の意思表示はしてくれますし、私のほうで、コミュニケーションに困ったということはありません。たとえ、返事が、首をこっくりさせるだけのものであったとしても、あるいは、「あ」とも、「う」とも「うぉ」ともつかないような、低く押し出したような、やっとしぼり出したような、普通の子よりも、一瞬遅れるような、ものであったとしても、、、。
 私にはその発音がどうしてもまねできません。で、まねようとするのですが、結構それが彼に受けたりします。結構ユーモアを理解する心もありますし、面白いことに対しては、きちんと反応してくれますし、私には、問題だとは、まったく思えません。粗雑で、ただただやかましい言い方をするような子も教えてきましたが、その子たちに比べれば、ずっと楽です。あえて言わせていただければ、それは、お母さんのないものねだりではないかと思います。私が、高校生のときは、もしかしたら、もっと無愛想に見えたのでは、と思うと、決して、彼を非難することはできません。
 ちなみに、彼に、たとえば、君がお店で雇われたとして、大声で、いらっしゃいませ、が言えるか、とたずねたところ、言える、と答えました。私は、本当だと思います。
 ところで、このお母さんのコメントで、私は、ふと、勝海舟のある言葉を思い出しました。私は、こういう仕事に携わっている人間としては、珍しいくらい、教育関係の本を読んでいないほうかもしれません。もちろん読んでいますが、それにジャンルを絞って、つまり、こだわって読んだ記憶はほとんどありません。最近の教育関係の本を熟読するより、たとえば、勝海舟のこの一言をよく考えるほうが、役に立つと思われるからです。その言葉とは、
物事は、着手と機会を誤らなければ、あとはほっといてもうまくいく
という言葉です。これ、私は前後の文脈を何回も読んでも、数ヶ月間(もしかしたら、数年間)は、何を言っているのか、よくわかりませんでした。よくわからないだけに、いやに気になって仕方ない言葉でした。私は、こういう言葉に接したとき、すぐに結論を求めずに、いつか解答が得られると思って、じっくり待つほうです。じっくり待つうちに、自分なりに覚えているつもりの、この言葉も、実際の勝海舟の言葉とは、多少違ったものになっているかもしれません。でも、内容はしっかりおさえているつもりです。
 で、この言葉の意味、今は、少し、わかってきたような気がしています。うまく表現できないのですが、平たく言うと、おそらくは、どのようにはじめるか(着手)、いつやるか(機会、タイミング)、これだけ気をつけろ、ということなのではないかと思います。
 とにかく、人を見抜く目が卓越しているだけでなく、人を動かす能力も飛びぬけている人なので、そんじょそこらの教育書を読むより、学ぶことが多いように思います。彼自身も、教育に携わっていたことがあることも、記しておきましょう。
 客観的には、逆境と見えるような状況を、逆手にとって、プラスに持っていってしまうことにかけては、天才という言葉も、控えめに感じるほどの人です。同時代の人で、彼の所業を神業(かみわざ)といった人もいるほどです。もっとも有名な、この人のエピソードは、自分を殺しに来た、坂本竜馬という浪人を、初めての面談で、心服させ、「弟子にしてください」とまで言わしめてしまったことでしょう。こんなエピソードに事欠かない人です。おそらく、この人のエピソード集だけで、1冊の本ができることでしょう。
 私は、これから、
ポイントをおさえて、ほっておく
という言葉を思いつきました。
 実際、私は、ポイントをおさえますが、それ以外はほっておくことにしています。もしかしたら、私に対して、口うるさい人、というイメージをもたれている方も、いらっしゃるかもしれませんが、このページの一番上の娘とのやり取りを読んでいただいてもわかるように、私は、むしろ正反対です。おそらく、私ほど、うるさくない家庭教師はいないかもしれません。もちろん、相手によりますが、、、。
 ポイントはおさえ間違えると、ひどいことになるかもしれません。指圧師が、勘所を押さえるような、熟練が必要になる場合もあるかもしれません。しかし、きちんとおさえたとき、そこだけをおさえて、あとは、本人の自由にさせてあげるということは、時にとても大事のような気もしています。


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