家庭教師田口の視点(36ページ目)

2009年2月15日 0:34:22
 見ない人もいれば、見る人もいる
 これは、私が最近目にして、気に入った言葉です。もっとも、実際の言葉は、かなり違っていたような気もするのですが、、。

 最近、野球の野村監督の文章を新聞で読みました。
 その中で、とても印象に残ったのが、この「見ない人もいれば、見る人もいる」というような表現でした。先ほど申したように、おそらく正確な表現ではありませんが、こんな感じの言葉だったかと思います。
 最初、何だろう?と思って読み進んでいったのですが、読み進むうちに、なるほど、と思ったりしました。
 この方は、プロ野球選手をやめたあと、いろんなところで、ご自分の野球理論を説いてまわったらしいんですね。テレビ、雑誌、新聞、講演その他、、。
 で、そのときに抱いておられた気持ちが「見ない人もいれば、見る人もいる」ということだったそうです。
 どういうことかというと、自分が言っていることを「くだらん」などと思って、まったく無視するか、目を通してくれさえもしない人もいるだろうが、一方で、きっと誰かが、関心を示してくれたりするものだ、ということです。
 そうして、この方は、いろいろなところで野球に関する自説を訴えていったところ、あるとき、ヤクルトという球団のオーナーの方から、「うちの監督をしてもらえないか」と誘いがあったらしいんです。このオーナーの方は、野村監督の言葉、文章をこまめにチェックしてくださり、感心し、一度うちの球団を任せてみようかということになったらしいんですね。
 結果は、確か、弱小球団ヤクルトの、2,3年後の優勝となったわけです。
 まさに、「見る人もいる」ですね。

 私が、このホームページを書き始めたとき、とても不安でした。それは、恐怖と表現したほうがいいくらいのものかもしれません。だって、誰も読んでくださらない可能性があるわけでしょ。
 「けっ。こんなつまらないことを書きやがって、」などと、みんなから思われて一顧だにしてもらえないのでは、という恐怖感が、ホームページを書き出したとたんに噴き出すように、わきあがってきました。ホームページを作ろうと思ったときは、まったくそんなことも思わず、いいことばかり考えていたのですけどね。
 でも、心の中で、きっと誰か見て、興味を示してくださるだろうと思っていたんです。「こんな文章ばかりのホームページ読む気がするか」という方がきっといっぱいいるでしょう。でも、そういう一方で、なるほど、「なかなかいいこと言っているな」と思ってくださる方が、ほんの少数でもいてくれれば、それでいいと思いつつ、、。
 今思うと、これは、上の「見ない人もいれば、見る人もいる」につながる精神かなって思ったりしました。ホームページなどを作るとき、こういう精神は、きっと大事なのでしょうね。100%人様から支持されるような文章を書こうなどと、最初から思わず、自分の経験、自分の思考から、これだと思ったものを、思いっきり書き出す、ただ、それだけを考えるということのほうが、自分に正直な分、見る人には見てもらえるのではないか、と、改めて思うようになりました。

 ちなみに、この野村監督も「野球馬鹿」を自認してられるようです。私も、ずっと前から「家庭教師馬鹿」を自認していたわけで、こんなことを言うのは自分だけではないんだ、と、なにか親しみを感じました。「専門馬鹿」と言われかねない私自身を、先手をうって、「だから、どうなのよ」と開き直って自分に当てはめてみた言葉なのですが、こんなことをまったく畑違いの方が、まったく別のところでおっしゃっているわけですね。
 そう言えば、「役者馬鹿」とご自身のことを言われていた俳優さんがおられたようにも記憶しています。自分の仕事に「馬鹿」をつける方は、結構おられるのかもしれません。
 仕事にのめりこんで、どこが悪い。四六時中仕事のことが頭から離れなくて、どこが悪い。自身を「○○馬鹿」という人は、どこかにそういう開きなおりがあって、こういう自虐的な「自称」をするのかもしれません。
 私自身、あるとき、ふと、この言葉がついてでてきて、あとでこうやって自己分析をしているわけなんですけどね。
 四六時中、仕事のことを考えてあきないから、これほど「巨大な」(まだまだ巨大になりますけど)ホームページができたのでしょうし、共感して本を出してくださるという出版社も現れたのでしょう。
 どこかでも、同じようなことを記したかと思いますが、職人的仕事は「馬鹿」にならないとうまく行かないような気もしてます。

2009年2月22日 23:37:39
 今回は、私の教えている子の、すばらしい作文(小論文)をご紹介いたします。
 小学校6年から教えていた子で、今中学3年です。最初教えたころは多少ひ弱に見えましたが、最近は、とてもたくましくなってきています。身長も見下ろすような子だった子がいつの間にか私とそんなに変わらなくなってきています。うれしいような、さびしいような、、。
 学力も、その性格、身長と比例するかのように、日に日に高まっているようで、今回、世間のうらやむような高校に合格しています。
 作文力も遅ればせながら、伸びてきて、教えはじめのころは、私の「だめだし」が何回も続いた子ですが、今は、みごとな文章を書きます。もう、ほっておいても自分でぐんぐんと頑張ってくれていて、私としては、理想的に伸びていった子の一人です。彼の頑張りは、手放しでほめてあげたいです。本当によく頑張ってくれました。ここで、改めて、感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとう。

 この作文をお読みになった方は、彼が、かつて漢字をあまり書かず、そのかわりにひらがなばかりを書いていた、「文章音痴」であったことが信じられないでしょう。、しかも、その作文は、「。」と「、」がところどころで抜けていたということも、、。それで、小学生のときお母さんが悩んでられたのですが、私も、何度も何度も同じようなミスをするものですから、「なかなかしつこいやつだなあ」と思ったものでした。本人も、自分の昔の文章をみたら、よくもこんな文章が書けたなあ、と思うことでしょう。
 しかし、今、内容も、文章力も、中学生としては、突出したものを持っていることは、下の彼の作文をお読みになれば、おわかりいただけるでしょう。
 ある意味、最初が最初だけに、一般的学力(こちらも突出したものを持っていますが)以上に、作文力の伸びがいちじるしかったと言えるかもしれません。努力すれば、人間は、こうも伸びるということを、彼は示してくれたといえるでしょう。今、作文で、勉強で、伸び悩んでいる子の励みになればと思います。
 以前、彼に「これはいい作文だ、と思うような作文が書けたら、ホームページに載せてあげてもいいよ」と伝えたことがあったかと思います。今回は、その約束を私が果たすことになったわけです。
 では、、。

 小論文のテーマは
「飲み物の容器として、ガラスびんよりペットボトルのほうが優れている」に対して、@賛成の立場A反対の立場B自分の意見を述べなさい。
というものです。

@賛成の立場
 私はガラスびんよりペットボトルのほうが優れていると思う。なぜなら、誰でも使いやすいという利点があるからだ。ガラスびんは幼児やお年寄りなどには重く、割れると危険であるのだが、ペットボトルは軽く、割れたりするなどという危険はほとんどない。また、どこでも販売しやすいという利点もある。ビンなどでは自販機の激しい衝撃に耐えられない(
田口注:「耐」なんて、こんな難しい漢字を書くようになったのだね!)場合もあるが、ペットボトルはほぼ100%といっていいほど安全である。そのせいか私は自販機でビンの商品を見かけたことがない。さらにペットボトルには軽いという利点がある。軽ければ、軽るい(注:「る」は本来入れてはいけません)ほど、商品を運ぶ際のエネルギー資源もかからずにすむ。つまりペットボトルは、安全性と、省エネをかねそなえているので、ビンよりも優れていると思う。
A反対の立場
 私はガラスびんよりペットボトルのほうが優れているとは思わない。なぜなら、ビンの方が江戸時代の人々の何度も使うというリサイクル精神を受けついでいるし、ビンはこれからのもののあり方を考えさせてくれるからだ。現代社会ではポイ捨てという文化が根ずいて(
注:本当は「根づいて」です)しまったように思える。なので、私達はポイ捨てではなく、使えるかぎり資源を大切に使うという発想が必要なのだと思う。江戸時代でもリサイクルをし、なんでも何度もつかえるかぎり使うというのが普通であった。その文化を捨てつつある私達はなさけない事である。なので現代にのこる何度も使うビンというものは、決してペットボトルより劣っていないと思う。
B自分の意見
 私はペットボトルという製品は非常に便利だとは思うが、決して、良い製品とは思っていない。なぜなら、ペットボトルは気軽る(
注:ここも「る」は不要です)に使え、どこにでもあるので、すぐに捨ててもよいという意識が消費者に生まれ、使い捨て文化の原因になっていると思っているからだ。またこのような意識がでてくると、それにあわせ開発者も、そのような商品を生み出してくる。だから、現代にはすぐ壊れるような、安い自転車、電化製品が立ちならんでいるのである。その面からいえば、ガラスビンは何度も使え、現代社会にもっとも大切な物をおしえてくれるきっかけになると思う。これからは、使い捨て文化をすてていけるような製品が必要だと思った。

 以上です。少しミスがありますが、中学生としては、よく考えられた、なかなかいい文章ではないでしょうか?私自身も、学生時代は文章を書くのを苦手としていて、ある時期から文章を書くのに苦労をしなくなったのですが、やはり、努力と思い入れが人の能力を高めるのですね。

2009年3月12日 3:06:50
 上でとりあげた、この「かしこくなった」子は、私の指導の下、高校の受験が終わった直後から、高校のテキストを使って、もうすでに高校の問題を解き始めています。本人もやる気満々です。
 ものすごい高校に、結果的には、余裕で受かっていながら、さらにその高校で「ぶっちぎりたい」という強い意志みたいなものを感じます。もうほうっておいても彼は走り続けることでしょう。とても信頼がおけます。
 彼などをみても、私は「環境」が大事だと、常々思います。
 子どものやる気、能力の高まりなんてものは、「紙一重」なのではないかと、いろいろな子を教えて思います。紙一重の差が積み重なって、こうも変わってくるわけですね。

 最近、私の体験授業を40分遅刻して、その理由が「友達と遊んでいたから」という子がいました。しょっぱなから遅刻されたのは、初めてです。ご両親もずいぶん手を焼いておられるようで、もう中3というのに、大変な子になってしまって、と思ったりします。私は、通常は子どもの味方ですが、それではいけない子がいるのも確かです。
 私は基本的に子どもに優しいですが、それでは、通じない子にまでやさしいということはありません。今教えている子達は、私のやさしい面ばかりを見ている子どもたちばかりかと思いますが、実は、いつもそうではないわけで、この私でも、少なくとも当初は、厳しく接しないといけないと思う子もいます。
 その子の場合、さすがに、当初は、厳しい対応をお願いしました。もちろん、単に「厳しく」でついてこれる子のようにも思えなかったので、一方で、親としての心構え、覚悟みたいなものをお知らせもいたしましたが、、。今は、ひところに比べると、ずいぶんよくなってきているようです。私が厳しく接したのは、最初のころの1度だけです。
 ポイントをおさえることが、何よりも大事です。

 ところで、これは上に述べたやる気満々の子でも、かかわりを間違えたら、そういう子になったかもしれないことも示していると思っています。少なくとも、すべてひらがなで作文を書くというところからしても、彼がはじめからやる気満々という感じでなかったことは、ご理解いただけることでしょう。
 結果を見て、世間の皆さんは、「あの子は賢いから」みたいなことをおっしゃりますが、あの子だって、最初からそんな子ではなかった、ということなんですね。
 私が「紙一重」というのは、決して大げさではありません。子どもは、育っていくものなんですね。小さな紙一重のかかわりの違いの連続の中で、紙一重の能力差を持った子どもたちが、気がついてみたら、大きく違っていた、ということが、多くの場合、言えたりします。そのとき、その過程がかえりみられず、「もともとかしこかったから」のように評されることもありますが、それは、世間の皆さんのほとんどが、ご家庭のかかわりの工夫、教師のかかわりの工夫をつぶさに見る機会がないからだろうと私なんか思ったりしています。
 これは、私の実感です。

 というわけで、ここからは、「環境と言葉」ということに焦点をあてて、お話しましょう。いつもそうですが、私は、子どもが、他人様に特定されないということを配慮しつつ、極力具体的にお話していくつもりです。きっと、なんらかの工夫のヒントが得ていただけることでしょう。
 
 なお、私がここで「環境」という場合の環境とは、世間で言うものとずいぶん違うかもしれません。もし、部屋を与えて、机を与えて、ということなどを子どもの「環境」ととらえられているとしたら、おそらく、私の申し上げる「環境」は、それと、正反対に近いものになるかと思います。

2009年4月20日 23:31:35
 この書き込み、少し(だいぶ?)遅れてしまい、すいません。

 「環境」ということについて簡単に触れたので、「言葉」に関しても、簡単に触れておきましょう。
 私は、言葉は、「軽く小さい声で伝えて、本人がきちんと動いてくれるなら、そのほうがいい」と考えています。
 子どものほうが、こっそり聞き耳を立てているという感じが理想かと思います。

 以前、私は、幼いときの娘が、怖がっていた注射をあるときから、突然怖がらなくなり、むしろ、注射をされて、自慢げに腕を上げるようになった、という話や、ファミリーレストランで、行儀を自分で正すようになった、という話を記したことがあるかと思います(具体的には、そこのページをお読みください。昔のところを、楽しみつつ(?)読んでいるうちに、きっと目にとまることでしょう)が、このとき、私は、大声でこうしろ、ああしろみたいなことは言わなかったと思います。
 伝えた内容は、いずれも、自分で考えさせるというような内容の話でした。その子にあった、どういう言葉、メッセージを、どういうタイミングでつたえるか、それで、結果(子どもの行動)が大きく変わってくるということは、十分考えられることといえるでしょう。

 家庭教師に限らず、教師という職種の人間は、「言葉の魔力」みたいなものに、敏感にならざるをえない宿命にあると思います。
 もちろん、教える能力も高くなくてはいけないです。「よくわかる」といわれること、できたら、「誰よりもよくわかる」といわれるくらい、教え方に熟達していることは、家庭教師が最低限身につけておかなくてはならない能力のひとつでしょう。実際、それだけで十分な子もいっぱいいます。「わからない」という壁にぶち当たっていて、もがいているという感じの子には、もがいてももがいても解決できない部分を、「しっかりわかる」というレベルまで、もっていってあげるだけで、本人は、ほうっておいても、がんばってくれたりします。
 ですから、そういう子には、純粋に教えるという能力のほうが、むしろ求められるといえるでしょう。
 ただ、いつもそういう能力だけが求められるというわけでもないということも、私たちは知らなくてはいけないように思われます。いや、はじめからやる気のある子に対してでも、「言葉の魔力」に関する知識は必要かもしれません。知らないと、不用意にその子たちのやる気をなくさせることをしかねないので、、。

 やる気のない子は教えないというのも、ひとつのスタンスかもしれませんが、それでは、教師としては、半人前という感じがします。
 やる気のない子は教えないというのは、格好いいですが、一方で、やる気のない子は教えられない、そういう子を変えていく能力を持ち合わせていないと宣言しているようなものとも思われるからです。
 むしろ、やる気のない子、やる気があるように見えて、結果が伴わない子、そういう子を変えていく能力も、たとえば、平均値の定理(数V)を理解し、説明する能力をもつと同じくらい深い思考を必要とするものではないかと思われます。

 やる気のある人間の集団であるはずのプロ野球なども、監督がかわって、驚くほどチームが変わったというのがあります。で、そういうことに長(た)けている監督というのは、そういった監督さんたちのコメントなどから想像するに、一般的に、きわめて「人間通」であり、「言葉の魔力」を理解しているように思われます。このページの最初でとりあげさせていただいた野村監督もそれをよくご存知の方で、単なる「野球馬鹿」で、野球理論だけに精通している方ではなく、人間というものをしっかりと観察して、もともとから野球に対する意欲の高いプロ集団を、さらに、意欲レベルの高い集団へと導いているということが感じられます。
 ましてや、私たちは、勉強がもともと好きだとばかりはいえない「普通の」子どもたちと接しているわけです。「言葉の魔力」について、よく知り、「人間通」になっておく必要があろうかと思います。

 環境と言葉、このふたつは、子どもをいい方向にも、悪い方向にも変えていってしまいかねないという点で、重要な視点かと思います。皆さんの知恵、知性、心の余裕、哲学などの全体が問われます。私のかかわりを実際に見ておられるお母さん方は、私が簡単にしておられるように見えるかもしれません。確かに慣れれば、そんなに難しいことはありませんが、見えるほど、簡単でもありません。
 だから、皆さん苦労されているのですよね。
 私自身、当初、多少なりと、やる気などで問題を抱えている子の場合、ご家庭のご協力をお願いしたりします。で、ほとんどのお宅が私の考え方に理解を示してくださり、うまくいっているのですが、中には、「それはうちではむり」と言われて、一部ご協力いただけないときもあります。お母さんが理解をされても、ご主人の理解が得られなかったり、まあ、こういうのはあることはあります。このホームページをご覧になって、問い合わせてこられているお宅では、少ないですけどね。
 次のページで、さらに詳しく記していきますね。

 仮に、子どもさんのあり方に悩まれているとして、それくらいでしたら、ご自身のあり方を見直され、行動に移された方が、気が楽なのではないでしょうか?


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