家庭教師田口の視点(30ページ目

2008年2月7日 0:17:51
 
家庭教師田口の視点(27ページ目)に載せさせていただいた、事故で亡くなったあの子(うるうるの子)のホームページをお母さんが作られました。涙を流しながら作られたとのことです。もっとも、作られたときのお気持ちは涙を流したというレベルのものではないということは、ご想像がつくことかと思います。
 お母さんとメールのやりとりをして、お母さんの、悲しみを超えた苦しみをいつも強く感じていました。苦しみという言葉さえ軽いくらい、、。私もあちらの掲示板に書き込ませていただきました。あのホームページに行くたびに涙が流れます。しかも経験したことのないくらい大粒の涙が、、。私は、あの子を「魔法」にかけてしまっていたと思ったのですが、実は、私のほうも、それ以上に彼女の「魔法」にかけられてしまっていたことに気付きました。掲示板にも記しましたが、一介の家庭教師が、一人の子のために涙を流すということを不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。ぜひ、家庭教師田口の視点(27ページ目)をご覧になり、彼女のホームページhttp://www7b.biglobe.ne.jp/~miho-peace-lovingをご覧ください。そして、もし気が向かれたら、あちらの掲示板への私の書き込みをご覧ください。あちらの掲示板はすでに多量の書き込みがあるので、探しにくいという方は、美穂さんの掲示板への私の書き込みをご覧ください。でも、もしよろしかったら、私の書き込みだけでなく、ほかの皆さんの書き込みも多少なりとお読みいただければ、と思っています。とにかくいろいろなことを考えさせてくれる場です。少し読み進んでいかれたら、おそらく私の申していることをわかっていただけることでしょう。
 お母さんの「メッセージ」も伝わってきます。
 今、実は彼女の妹さんも教えています。中1のはじめから、、。今まで妹さんのことは取り上げてきませんでしたが、妹さんが、実は、今、もっとも頑張っているかもしれませんね。たった一人のお姉さんを失った彼女は、私が知るだけで、お姉さんの死後、2回、何かの拍子に卒倒したしたらしいです。
 また、学校の先生から、将来の目標を聞かれて、「とりあえず勉強頑張る」と答えたそうです。お姉さんの影響でしょう。お母さんからご紹介いただいたお宅の子も頑張っていますし、うるうるの子は、私たちにまだ多くのよい影響を与えてくれていると思っています。彼女は、今、みんなに「魔法」をかけてくれています。
 こんな子が死ななければならないなんて、、。
 やる気がないとお母さんからいわれていた子が、精神的にもどんどん大きくなって、「尊敬するよ」とお母さんにいわれるようになりました。その軌跡は皆さんにいろいろなことを考えさせることでしょう。彼女はこっそり「田口先生だけは信じられる」と言ってくれたそうです。それは、一介の家庭教師にとって、何よりも尊い勲章だと思っています。
 信じてくれてありがとう。
 この子だけは裏切れないと常に思わせてくれた子。強情なくらい純粋な子。
 昨年の年末、ちょうど彼女を大晦日に教えることになっていました。彼女は、「田口先生とカウントダウンだね」というようなことを言って、楽しみにしていたそうです。実現することはなかったですが、、。その時間に妹さんを教えながら、彼女のその言葉が何度も聞こえてくるようでした。
 生きているうちに1度だけでも会いたかったね。
 群馬まで行き、遺影の前で、ただひたすら涙を流す自分がつらかったです。

2008年2月27日 1:19:04
 上の「お母さんからご紹介いただいたお宅の子」からメールが来て、県内有数の志望校(高校)に前期試験(後期試験に比べきわめて狭き門)で、合格したとのことでした。すごいですね。あのうるうるの子の分も頑張ってくれたのだと思います。掲示板で報告されているCMさん(書き込みありがとうございます!)の息子さんも県は違いますが、同じような狭き門のほうで合格しています。二人とも、いずれは合格したかと思うのですが、狭き門をくぐりぬけたことは名誉なことだと思います。CMさんの息子さんには入試の前のあるとき「どうせ受かるなら、こっちのほうが格好いいし、名誉でしょ」と言っておいたのですが、そのテストで数学の出来が悪かったみたいでした。でも、偉いのは後期試験に向けて淡々と勉強し続け、少しも動揺するところがなかったらしいことです。こういう子が受かるという典型のような受かり方でしたね。受験期になると精神からつぶれてしまう子もいたりします。そのケアの仕方も私たちの能力の発揮のしどころでしょう。
 今のところ、中学受験で、第一志望に失敗した子がいました(その後、塾から、「いい子ですが、受験には向かない子」といわれたらしいです。私から言わせれば、塾に向かなかっただけという気がしますが、、。それが証拠に私がサポートした科目だけは、その時期だけ結果を伴いましから、、)が、ほかはにゃっきさんのお宅も含め、皆さん、第一志望合格ですね。おめでとうございます。これからも、前のめりになってがんばってほしいです。

2008年2月29日 9:24:12
 「お母さんからご紹介いただいたお宅の子」って、例の英語が、「簡単な疑問文、否定文も書けない」というところから、数ヶ月で一気に模試で「学校で上から一ケタ」にまであがってしまったという子です。これもマジックではないですよ。マジックに見えますか?こういうことは、よく経験しているんですよ。
 ところで、こういう実績を記していくたびに、何か、実績ってなんだろうって思ったりするんです。別に、私の実績は決して悪いものではないですよ。でも、それよりも、子供たちが「よくわかる」という反応をしてくれる、私の教え方に感動してくれる、という「実績」のほうが重要なのではないかと思ったりするんですよね。
 にゃっきさんの息子さんは「田口先生の数学はマックス」と言ってくれたみたいです。CMさんの息子さんは「すっげ〜」と反応してくれたそうです。私の「実績」は、個々の子の、こういう反応にも求められなくてはいけないと思っています。もうだめだと思っている子、伸び悩んでくさっている子など、問題を抱えている子をよみがえらせることにこそ、家庭教師の能力の大きな部分があるとも思っています。賢い子をいっぱい集めて、その子たちをいい学校に受からせて、私(たち)の実績はこれこれですというのがあるとすれば、それは、私の家庭教師としてのあり方と少しずれていそうな気もしてます。「家庭教師ばか」田口が目指しているのは、そういう数字に表れない実績を積むことにこそあるとも思っています。
 私は、毎年、私の実績を丁寧に書きません。それはプライバシーに配慮したというのもありますが、そういう実績を目いっぱい書いたとして、「だからなんなのよ」と思いがあるからです。そういう実績よりも、たとえば、あのなくなった「うるうるの子」から、「田口先生だけは信じられる」(この言葉を思い出すたびに、目と鼻の辺りがじーんとしてきます)と、私の知らないところで、いわれることのほうが、はるかに大きな実績だと思うんです。こういうのも、すべて書き出しているわけではないですが、私が好んで書くのは、どちらかといえば、こっちかなという気がしています。
 私は京大工学部に受かった子、国立大医学部に受かった子も全教科教えてきました。今年受験した子ではないですけどね。かつてオール1の子も教えたことありますよ。どちらも違った意味で高度な能力を求められます。でも、それは、プロ家庭教師を名乗るなら当然もっているべき能力だと思うんですよね。私は、高校生に余裕でたとえば数学を教えます。英語も、古文も化学も、、。だから、中学生にもっと余裕で教えられるわけですよね。中学受験も同様です。高校物理を知っておくことは、中学受験の理科を、たとえば、教えるのに、とても役立ちます。
 で、子供たちから、「すごい」とこっそりブイサインがでたりするんです。
 私たち家庭教師は、そのことに、私たちの人生をかけるくらい気持ちでいる必要があるのでしょう。大げさですか?少なくとも、私はそういう気持ちをいつも持ち続けているのですが、、。
 どんなお説教よりも、わかりやすい授業は説得力があると思うんです。

 それから、もうひとつ。
 こっそり(?)私がお話した人がいますね。私の新しい本が3月に出る予定だということです。楽しみにされている方もいらっしゃるかもしてませんね???そうです。本が出る予定なのです。
 で、そういう方のために、私は、少し申しあげなくてはならないことがあります。どうも出版社の都合で、本が出版されるのが遅れそうなんです。私のほうは、出版社のご意向に沿って、原稿を書き上げ、締め切りをしっかり守ったつもりだったので、「え?」という感じだったのですが、この業界に詳しい方にお尋ねしたところ、「何も特別なことではありません」とのことでした。どうもそういうことのようです。で、もう少し遅くなりそうです。おそらく夏までには何とかというあたりかと、、。もう原稿は私の手から離れてしまったので、正直私にはどうしようもないのです。いつまでに、ということも、実は確約できない状況でして、、。夏までにはというのは、出版社の担当者の方がめどとしておっしゃっているだけでして、、。出版されるまでは、「とらぬ狸の皮算用」にならぬよう、楽観はしないつもりです。
 この本は、出版社のご意向で、教師向けに、子供たちへのかかわり方を書き出したものですが、で、レベルの高いお話もありますが、私はそういうのを難しく書くのを好みません。あえて、一般のご家庭の方がお読みになっても参考になるようにとも配慮して書きました。ですから、どなたでも、すうっとお読みになれると思います。出版社のほうで編集された段階で、どこか削られてしまう可能性もあるのですが、、。
 こんなことも含め、また、はっきりしましたら、ご連絡させていただきます。よろしくご理解ください。
 少し、時間に余裕ができてきたので、また、できるだけ定期的に(1週間に1度くらいなペースをめどに)書いていきますね。

2008年3月9日 1:39:06
 定期的に、1週間に1度ずつこのページを書いていくつもりでいるのですが、私は、自身の仕事を、何よりも最優先する人間です。もしかしたら、遅れるかもしれませんが、そのときはよろしくご理解ください。3月は、私の1年の中でも比較的余裕のある時期で、今ごろくらいは、ペースを守れなくては、と思ったりもするのですが、、。

 ところで、田口というやつは、どんな授業をするのだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。以前、時々、私の授業の様子を取り上げたことがあるので、そちらもお読みいただけたら、と思うのですが、ひさしぶりに、私の授業の「実況中継」的なものもしてみましょう。授業の雰囲気を知ってもらうことが目的なので、わかりにくいところは読み飛ばしてくださっても、ストーリーはご理解できるかと思います。もっとも、ご自分で英語を教えたいという方は、役に立つエッセンスが盛り込まれていますので、じっくり読み進めていかれたほうがいいかもしれません。
 
 さて、英語で、こんなのを取り上げてみましょうか?英語をとりあげるのは、きっとはじめてかもしれませんね。今回取り上げるのは、
  He is taller than any other boy in his class.
です。「これを最上級に書き換えなさい」みたいなのは、問題集に必ず入ってくるといってもいいほど、定番の問題ですね。で、私に、これの書き換えの仕方を教えてほしいといってきた子がいます。みなさんは、どう教えますか?
 書き換えなどというと、書き換えのパターンを覚えるしかないとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は、それはお勧めできません。英語は、ある程度のところまでは、暗記が必要ですが、ほかのあらゆる勉強と同様に、暗記主体で理解しようとすると、結果がよくありません。理屈を、必要のある子には、ゆっくり、しっかり教えていくことが必要です。私自身は、純粋に暗記するだけと思われるようなところさえ、工夫の余地がずいぶんあると思っています。それについては、以前触れたことがあるかもしれませんね。ここでは、上の書き換えをどう教えていくかを考えて見ましょう。
 どう教えるのか?やはり根性で覚えろ、で終わりじゃないかですって?
 上の文の場合、先日、本人(レベルの高い私立に行っている、とても賢い子です。お兄さんを教えた縁で,中1から理想的に教えることができています。実は、今も中1で、こんな難しいとこ習っているんですよ。通常数学だけ教えていますが、時々、こんなふうに別の教科も聞いてきます。中学受験のときは、算数が一番苦手だったのですが、中学からは数学が一番できるそうです。人の得意なんて、そんなものですね。子供の頭のよしあしもこんなものと思ってください)が、どのくらい理解しているか知るため、まず訳を聞いてみました。そうしたら、「彼はクラスで一番背が高い」と答えてきました。「合っているけど、直訳してみると?」と聞いても、やはり同じ訳を言ってきます。
 で、大体私はこの子のネックとなっているところが、ぼんやりわかってきました。訳を力づくで覚えてしまっているのですね。He is taller than any other boy in his class.も書き換えの答えであるHe is the tallest boy in his class.もまったく同じものとして、ぐしゃっと暗記してしまっていたのです。ネックはここにあります。こうしている限り彼女が英語の書き換えを得意になることはないでしょう。私は、早めに聞いてきてくれたことに感謝しています。
 で、私は、理詰めで訳すよう言い、ピンときていないような彼女に一つ一つ単語の意味を確認していきました。He is taller than までは、きちんとおさえられていました。で、次に、anyの意味を聞いてみたら、わかっていませんでした。で、「肯定文のanyだよ」といったのですが、「はあ?」という感じでした。「否定文や疑問文では、someの代わりとしてanyはよくでてくるよね。で、肯定文のanyの訳は知らない?」と聞いたら、「はい」というので、「肯定文ではね、anyは『いかなる』とか『どんな』とか訳すんだよ」と言ったら、「ほ〜」という反応でした。
 次に「otherは?」と聞いたら「他人」と答えてきました。「おしいね。でも、他人はothersだよ」と答え、otherは「他の」という意味だということを伝えました。で、さらに,「そのあとのboyがなぜ複数形になっていないのかということに関して本人に「なぜか知っている?」と聞いて、わからなかったみたいなので、それを説明しました。
 「ここではboyだからboyと覚えるんだ」というのでは、根性で覚えろと言っているに等しく、英語力の健全な上昇は望めないでしょう。まず,肯定文では、anyのあとは、単数がくることが多いということをおさえておかなければなりません。否定文では通常複数形ですよね。肯定文のanyは「いかなる」「どんな」という意味だから、「あらゆる」と言う意味のallでもいいではないかと思うかもしれませんが、それは、通常ありえません。なぜなら、比較級では彼と他の少年を一人ずつ比べて、つまり、A君と比べて、彼は背が高い、B君と比べて背が高い、Cくんと比べて、、とやっていくうちに全員と比べて背が高いということがわかった、というそういうニュアンスを含んでいるんですね。つまり、比較級は常に1対1で比較するということが基本だからここでは単数のboyが使われ、その上にかぶる単語は複数形を好むallではなく、単数形を好むanyが来るというわけです。たかが1文ですが、深いでしょ。こういう深い考察を入れておいたほうが、英語というものは、分かりがいいわけですし、書き換え時などに間違いが減ります。ただ、間違えちゃだめじゃないか、というのは、私は好みません。前のどこかでも記したように、不必要にプレッシャーをかける行為だからです。第一教える側に知恵が感じられません。

 理屈で学習事項をおさえるということは、それが本来の学習というものだからです。勉強の本質はここにあります。次回anyにであたっとき、彼女は肯定文のanyを意識することになるでしょうし、そうしていったとき、anyのイメージががぜんふくらんでくるのですね。で、そういう理解の深さがいざとなったときに、たとえば、英作をするときなどに、少しずついい影響を与え、英語を得意にしていくんだと思います。私が単なる根性主義を好まないのは、そういうところから来るのです。教えるという行為は、その前に、私たちの深い考察が必要で、それは、人間、子供に対する考察も大事ですが、授業そのものに対する考察も、教えるということをなりわいにしている限りはとても大事だということになります。

 彼女が最近英語を苦手とし始めているというのは以前お母さんからお聞きしていました。彼女の場合、上のようなネックがあったのですね。
 もちろん、私は、その子その子のレベルに応じた話し方をします。この子は、高い理解力を持っている子なので、余すところなく、私の知識を提供しましたが、まだ、理解に難があって、私の説明の一部を理解することだけでも苦労していると思われる子には、その子のわかる言葉で、スピードも緩めて話してあげます。また、あえて、話すポイントを絞ります。自分が知っていることを、こんなに知っているんだぞ、とばかりに、余すところなく伝えようというのは、教師の傲慢でしょう。
 もうひとつ言わせていただければ、理解に難があるから、あるいは、遅いからと言って、その子が頭が悪いと思われるのは危険です。
 最近、中学受験間際に言ってこられ、でも、事情があって私自身はほとんど教えていなくて、でも、塾のおかげか、人様のうらやむような全国でも有数の中学に受かった子がいます。実際、とても賢い子です。でも、その子の理解のスピードが極めて遅いのには、きっと皆さんも驚くことでしょう。
 理解が遅いということと勉強ができないということは、ほとんど相関関係がなく、むしろ、理解の遅い子の中にきわめて、能力の高い子がいるというのも事実です。子供を自分の理解の尺度で考えないことはとても大事なことといえるでしょう。教育の失敗の多くはこのあたりを踏まえないところにあるといえるかもしれません。

 以前記した、「深い思考は深い行動を生む」というのは、授業の中身にも求められるわけですね。私たちは日々それに真剣勝負で向き合っているわけです。

 私は、仕事以外の面では格別皆さんに誇るべきものもない、文字通り「家庭教師ばか」であり、家庭教師という名の職人であるつもりです。
 で、その職人も座して待っていれば、仕事が来るというのでなく、やはり自分の能力をできるだけ等身大で伝えていく必要があると思っています。極力ごまかしのないよう、、。
 もしごまかしがあれば、私は掲示板でコテンパンにやられてしまうことでしょう。掲示板は、私という人間がごまかしをできないようにするため、とても大事なものであると思っています。お越しいただいているお母さん方には、どんなことを書かれてもかまわない旨伝えてあります。もし、私が私に都合のいいように書いてほしいとか申しあげたら、みなさん、書くのをおやめになる方々ばかりだと思います。またそういう方々であってほしいと思います。私自身が緊張感を持って仕事に取り組むためにも、、。

2008年3月14日 13:02:34
 閑話休題。高橋尚子さんが、名古屋で勝てませんでしたね。理由はいろいろとあるかと思いますが、私が着目したいのは、彼女が半月板を損傷して、手術を受けていたこと。さらにいわせていただくと、そこまで走りすぎてしまった彼女にブレーキをかける人が誰もいなかったことです。「チームQ」は高橋尚子さんを中心に回り、つまり、彼女の意志が最大限尊重され、強く「走りすぎ」を止める人がいなかったのではないかと、勝手に想像しています。走るというのも、おそらくは、合理的努力を必要としていると思います。高橋尚子さんの場合、以前小出監督が「走りすぎ」を指摘し、注意していましたが、小出監督の元を離れた今、だれもそれを制止する人がいなかったのでしょうね。私たちの勉強は、一般的に勉強しすぎて、どこかがおかしくなるということは、そんなにないのですが、どうも、マラソン選手に関しては、そのようなところがあるようなんですね。
 この場合の合理的努力は、体を壊すまで走ってはいけないということかと思います。でも、高橋さんは、「マラソン中毒」と言ってもいいくらい、ほうっておくと「走ってしまう」らしいのです。よく言えば、走るのが大好きなのですね。
 私自身は、彼女は名古屋で「勝てる」と思っていました。だから、あとで半月板の話を聞いて、残念な思いをしているのですが、でも、人生にはこういうことはよくありますよね。思ったように物事がうまくいかないこと。私は評論家のように、だから、だめじゃないかみたいなことを言うつもりはありません。確かに「名古屋挑戦」には失敗はしましたが、で、私は、その原因を、勝手に分析している(事実は違うかもしれません)わけですが、それは、人生での失敗ではないと思っています。
 今回、受験に失敗し、落ち込んでいる子、ご家族の方がいらっしゃるかもしれませんが、こういうつらい思いを早い時期に味わって、それを何とか克服していった人のほうが、順風満帆で、何も苦労することなくうまくいった人生を味わった人よりも、最終的には幸せな人生を歩めるのではないかとさえ思います。問題は、ですから、こういう失敗にぶち当たったとき、どうそれに向き合うかでしょう。「失敗は成功の元」と言い古されるくらい言われていますが、失敗にどう向き合うか、失敗をどう糧(かて)にしていくか、それで、その人の価値が決まってくるのだと思います。
 たとえば、この高橋尚子さん。この方は、一見失敗したように見えますが、で、実際客観的には「失敗してしまった」わけですが、人生で失敗者になったかというと、そうでもないと思います。新聞にだれが優勝したかがわからないくらい大々的に取り上げられ、多くの方の「共感」を呼び起こしました。「あきらめなければ、、、」と頑張ってもうまく行かない。この厳しい現実が人生なんだよ、と私たちは彼女の姿から学びました。で、それでもスマイルを忘れずに、前向きに突き進もうとする彼女がいるわけですね。
 彼女は、私たちに、失意にいるとき、人はどうあるべきかのメッセージを送ってくれたといえるでしょう。そういう厳しい現実に向き合う姿勢に、また、彼女のファンになった方も多いのではないかと思います。野口みずきさんのファンも多いかと思いますが、仮に彼女が2大会連続で金メダルをとったとしても、高橋さんに、人気ではかなわないかもしれませんね。もちろん、彼女は最初から人気を取ろうとしてこういうことをしたわけではありません。うまくやろうなんてことを考えていたわけでもありません。むしろ、そういう打算を度外視して、「走りたい」という一念で頑張り続けた彼女が多くの皆さんに多くのことを考えさせ、本来はもっとも拍手されるべき優勝者以上に、新聞で取り上げられ、好意的にとりあげられたのだと思います。
 彼女は自分の意図通りにいかなくて、失意の状況におそらくはあるかと思いますが、この「失敗」も、そのときの本人の向き合い方で、必ずしも失敗と呼ぶべきものではなくなるかもしれないと私などは思ってしまいます。もちろん、本人はだれよりもくやしいでしょうけどね。で、くやしがるということはとても大切なことですけどね。
 ちなみに、私は高橋さんの走っているところの実況中継をまったくみていません。たまたまみることがなかったというくらいなのですが、それはそれでいいと思っています。私は彼女の生き様に興味があるのですから、、。




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