家庭教師田口の視点(28ページ目}

 
2007年10月31日 0:59:29
 先日教えているときに、生徒の一人が、「(苦手だった)英語の模擬テストでいきなり学年で10番以内に入っちゃった」という話をしてくれました。具体的な点数は知りませんでしたが、もともとは「ひどい点」をとっていた子のようで、ご依頼時もお母さんから「英語をなんとかしてください」という感じでした。確かに英語がわかっていませんでした。私が教え始めたとき、中3だというのに、簡単な否定文、疑問文すら書き換えられなかったのですから、、。いつも明るい子ですが、これだけわからないと、つらいだろうと思わせるようなところがありました。教えて1ヶ月くらいで「英語が楽しくなった」と言ってくれてたようです。今現在では、まだ教えて半年くらいにもかかわらず、「英語をなんとか」どころか、こんな信じられないほどものすごい結果になったので、驚いています。もちろん、私は本人が苦手としている科目のところは全部フォローしています。英語だけ教えているわけではないですよ。
 その子から「田口先生のおかげです」といわれ、体中がじ〜んときました。こういうときが一番うれしいです。「あなたはまだまだ伸びるよ」と言ったら、明るく「がんばります」と答えてくれました。
 私自身も、「できない子」から、必死になってがんばって、勉強が楽しくなって、自分の成績を、彼女のように、いや、もしかしたら、彼女以上に、急激に伸ばした経験があるので、彼女の結果を聞いて、かつての自分を多少感じさせてもらいました。いまだに、どうして、あのころの自分がこんなにもエネルギーがあったのかわかりません。
 彼女は最初からやる気のある子だったので、私にとって、これほど楽に成績を上げられる子もいないのですが、、。いずれ、ものすごい成績になる子でしょう。でも、私みたいな人間が教えることなくほうっておいたら、「英語は苦手」をずっと背負い続けた子になっていたかもしれません。この子も、遠方(関東)なので、パソコンで教えています。今は、全国どこでも教えられるので、パソコンで教えているお宅のほうが多いくらいになってしまいました。

 ご主人の後押しで、お母さんの反対にもかかわらず、本人が塾にも行き始めたお宅があり、そのお宅では家での勉強がかえって甘くなってしまい、今回は結果がよくありませんでした(塾にはりつければ、勉強するという考え方には賛成しかねますが、最終的にどうされるかはご家庭であると思っています。私は与えられた条件でできるかぎりのことをするだけです。正直、結果が出なかたことはくやしいですが、失意淡然ですね)が、それ以外は、おおむねいいお話ばかりでした。
 たまには、このあたりのお話もしましょう。
 数学が苦手だったという子が模擬テストの偏差値を10くらいあげて、やはり「田口先生のおかげです」と本人から言われました。この子もまだまだ伸びるでしょう。「数学の授業が怖い」といっていた子です。かつての学力の程度をご想像いただけるでしょう。こちらは、近くであることもあって、おじゃまして教えています。
 今まで苦手だった国語の定期テストで、99点を取り、それ以外の科目もおおむねいい点だったという子もいました。もともとそういう能力のある子だったんですね。塾をやめて、私だけになって、むしろ、気持ちが強くなった感じがしています。頑張りが持続しているという感じでしょうか?
 お母さんにいろいろご協力いただいているお宅で、この場で感謝いたします。いつもありがとうございます。もともときちんとしてくださるお母さんなので、そういう性格は、うまくいけば、本人にも知らず知らずによい影響を与えることになる(あるいは、実は、すでに影響を与えていて、私が教えて顕在化した(明らかになった)だけかもしれません)のではと、思っていました。何よりも、明るくがんばっている、今の彼には好感持てます。かつては、何かというと、集中力の途切れる子だったそうです。いろんなことに不満を言い、ご両親にあたっていたこともあったらしいです。
 この子の成長は、半分以上お母さんのおかげといえるでしょう。親の影響は大きく、子供や私だけの努力で、子供が伸びるのは難しい場合もある、というのは、私が常々感じているところです。上で最初に取り上げた子に関しては、ご両親はほとんどノータッチで、そういう子もいっぱいいますが、、。
 別の子では、塾ではじめのころ、4,5番だった子が最近の2回の模擬テストで2回連続トップをとったり、、。でも、この子は「田口先生のおかげ」とは言いませんでした。2年くらい前から教えているので、上の「おかげです」といってくれた2人が半年くらいで結果を出したのに比べれば、ゆっくりという感じかもしれません。もっとも、大きな塾でのトップなので、これはこれで、立派な結果ではないかと思っています。中1の最初から理想的に教えられたというのもあり、最初から「できがよかった」という子です。
 それぞれうれしいですが、有頂天になってはいけませんね。私からしたら、当たり前のように出さねばならない結果といえるでしょうし、私は、初期状態で、ある程度のやる気のある子には、かなり見える形で結果を出してきたつもりです。もちろん、そういう子ばかりを好んで教えて結果を出して、という人間ではありませんが、、。
 最後に、、。「なでしこ」さんところの弟さんは、おおむね少しずつ少しずつよくなっている感じでしょうか?彼に対するお母さんのスタンスには賛成です。じっくり長い目で見てあげる必要のある子でしょう。初期状態からすると、ずいぶんよくなっているのを感じます。こちらも、なでしこさんのご努力に感謝です。子供は、あるとき、急激に伸びるという子もいるわけです。彼のお姉さんのように、、。打つ手をうって、こちらは、じっくり待てばいいわけです。
 
 ところで、たまたま、今、テスト期間がおおむね終わって、ふと、このページ上で総括しているに過ぎず、今回が、特別に、いつもと比べ、よいから、ここに記したというものでもありません。また、結果の出た、すべての子を載せているわけでもありません。思いついたものを、たまには、載せようか、というくらいの気分で書いています。いままでの書き込みをお読みいただければ、私がそういうスタンスで書き記していることはお分かりいただけることでしょう。
 ほかにも、私の「魔法」にかかってくれているかな、という子はいますが、そういうのを列挙し続けるのもどうかと思いまして、、。

 私は、学校の先生をご両親のどちらか、あるいは、両方がされているというお宅も結構教えてきました。そういうお宅から申し込まれることは、名誉なことだと思っています。で、不思議なことにそういうお宅が私の意見を大事に聞いてくださっていることにも感謝しています。多くの場合、私のホームページを、ご両親のどちらかが熱心に読まれている様子がうかがえることが多いです。学校の先生も共鳴してくださっているということを意味しているわけで、このことも、私はとてもうれしく思っています。このホームページを読み、専門的な観点から、私の能力を、私の言葉一つ一つから、評価してくださっている方々がいるということでしょう。
 皆さんも、皆さんの経験から、私の話を読み解いてくださいね。もし気に入って下さったら、じっくりゆっくり繰り返し、楽しみながら、、。きっといずれ役立つことがあるでしょう。

 さて、前回(前のページの最後)の書き込みでご紹介した、最近問い合わせがあって、教えさせていただいているお宅なのですが、そのお宅は、お母さんが子供さんに対して「やる気がない」とおっしゃっているお宅でした。私は、「やる気がない」と決めつけるのはどうでしょうか?みたいな話を、おじゃました当初から、しました。それに対して、お母さんは、ご自分の息子さんがいかにやる気がないかを一生懸命熱弁されていました。で、お母さんの子供さんへのそのご不満を聞いて、そのご不満ごとに「それはこうしたらいいのでは?」というお話もさせていただきました。
 もっとも、私は、一言を言うだけで、あまりしつこくしないよう努めました。お母さんが気づかれていない部分を私があれこれ指摘して、精神的に追い込んでしまうことを恐れたためです。お母さんを不愉快にさせること、落ち込ませることが私の目的でなく、お母さんをサポートするのが私の目的なのですから、、。自身が知識や知恵を持っているからと言って、それを全部さらけ出すのは、お勧めできるような行為ではありません。こうしたらいいと思うことを最初から100%言い出すのは、相手の方に失礼でしょう。家庭教師としての能力、知識レベルが高ければ高いほど、指摘は細部にわたり、厳しいものになりがちです。こうすればよい、というものがあっても、ご家庭のご理解、ご協力がなければ、物事はうまく進みません。
 こちらの理想を押し付けるのは、余裕のない行為であり、すぐに自分と同じ価値観をもって行動してくださる、くださるべきだと考えているようで、傲慢とも言えるでしょう。実は、そういう傲慢さ自体が家庭教師としての未熟さをあらわしているという認識を持ってもいいのではないかと思います。
 知識、知恵などは、1%ほど、お出しするくらいで十分なのだと思います。ご家庭が必要としている事柄に対して、ピンポイントでお答えするのが一番よいと思っています。で、さらに聞いてこられたら、あるいは、ご説明の必要を感じたら、またそれに応じてお答えしていくというので十分かと思います。
 指摘が厳しいものになってしまうときでも、私は、言葉自体がきついものにならないよう、できるだけの配慮をします。精一杯の誠意を持って、、。ご両親と私が目指すところは、多くの場合、同じはずで、協力し合う関係になければならないわけですから、当然の姿勢でしょう。
 私は、基本的に優しいです。でも、ときに(ほんのたまにです。ですから、私がただただ優しい先生だと思われているご家庭もあることでしょう)内容が厳しいものになってしまうこともありますが、これは、心から、ご家庭のことを思ってのことで、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

 「ご家庭が理解してくれないから」というのは、家庭教師からよく聞かれる言葉ですが、最初から自分と同じ価値観で、ご家庭が動いてくれると思うのが間違いでしょう。

 野球で、バッティングコーチについて、これもだめ、あれもだめといろいろと指摘するようなコーチはよくないという話を聞いたことがあります。ひとつ(ポイント)だけ注意して、それを直すように心がけたら、ほかの部分もおのずといい方向に変わるというようなことがあると思います。教育に携わる人間はこのことをわきまえておくべきでしょう。
 同じことは勉強を子供たちに教えるときも言えることで、こちらが知っている解き方なり、知識なりを、本人のレベルも考えずに、余すところなく、伝えようとするところからは、いい教え方は生まれないと思います。深い知識は必要ですが、深い知識をすべてさらけ出すことほど、指導と遠いものはないと思っています。むしろ、浅い知識だから、浅い知識をすべてさらけ出して教えようとして、「わかりにくい」ということが生じるのであろうかと思います。余裕がないわけですね。深い知識を持って、そのごく一部を、本人にわかる言葉で、本人の知識の状況に応じて伝えることが、うまく教えるこつであると思います。深い理解が深い教え方を生むといえるでしょう。むだがないわけですね。
 一方で、浅い理解は浅い教え方、わかりにくい教え方を生み、しまいには、「こんなのもわからないのか」という子供に対する批判的視線が生じてくるという感じではないでしょうか?もしそうであるならば、無知なのは、目の前の「わからない」と言う子ども自身よりも、その子がネックとしているところをとらえられない私たち家庭教師のほうと思って行動するくらいでちょうどいいのでは、と思ったりします。

 今回問い合わせのあった、その子の場合、確かに信じられないほど、ひどい点(あと少しで成績が1になってしまいそうな感じ)を取っていますが、少し教えてみて、平均点程度にもっていくのは、そんなに難しい子ではないのでは、という気もしました。
 私の「魔法」は、いわゆるマジックみたいなものではなく、合理性のあるものです。彼は、1ヶ月ほどたったあたりですが、ずいぶんと変化が現れているように思います。その子の「やる気がない」は、塾へ行っても、私以外の家庭教師についても、あまり変化がなかったみたいで、お母さんによると「どうしようもない」もののようだったらしく、興味深いです。でも、確かに、宿題を100%やらなかったり、言葉遣いにも、態度にも、時間にも多少ルーズなところがあったりしますが、勉強に、私の授業に、興味を持ったときに、きちんと宿題をやろうという意識は感じました。私にはそれで十分であり、こちらは、あまり多くを最初から求めず、指摘せず、核心的な部分(ポイント)をゆったりと指摘してあげれば十分なのだと思います。それでも、すぐに追いつけない彼がいるわけです。「さっぱりわからない」を「よくわかる」に持っていき、さらに、興味を持たせ、ものの考え方に変化をもたらせば、彼は大きく変わる可能性があります。ただし、変化は地に着いたものでなくてはならず、私たちが無理やり持ち上げようとすると、結局本人も私たちもつらいだけで終わってしまうかと思います。

 実際彼は、表面的な様子とはうらはらに、本来は、かなりきちんとしたい子であることがうかがわれました。こんなことを言っては何ですが、おそらく、お母さん、私の前の家庭教師、塾、そして、彼が通っている学校は、彼の話を総合した感じでは、見抜けなかったのではと思います。どうして「この子のやる気がないとおっしゃるのだろう」というのは、私がよく感じるところです。いままでも、そう思わせる、いろんな子を取り上げてきましたが、今後も、何らかの機会にほかの子についても、私が、どうかかわったか、触れていくことがあるかと思います。

 私は、そのお宅そのお宅によって、お話しする内容が違います。また、子供によっても、話す内容がずいぶん違うように思います。違うように思う、というのは、実際私が子供たちと接しながら、特に今日はこれを言ってあげようみたいなことを考えたことはなく、多くの場合、自然な流れの中で、自然と口をついてくるということのほうが圧倒的に多いからです。
 特に意識したことはなく、結果として、言う言葉が子供によって違って、あとで自分はなんでこの子にこういう言い方をしたんだろうとか、考えて、なかば無意識に行動している自分を分析し、必要があれば自身を反省したり、ご家庭へのアドバイスに生かしたり、このホームページに載せてみたりしているわけです。そして、その思考の蓄積が私の行動をよりよいものにしてくれていっている。そんな感じがします。私自身、家庭教師は、貪欲(どんよく)に知識を吸収し、貪欲(どんよく)に思考を蓄えていかなくてはならないと思っています。おそらくどんな仕事よりもそういうことが求められる仕事であると思っています。
 私は、能力をさらにさらに高め、「田口というやつに任せると、どういうわけかうまくいく」という信頼を築き続けたいと思っています。

 そういえば、掲示板1に、「宮」さんが書き込んでくれましたね。今大学生です。この子も私の「魔法」にかかってくれた子です。「やる気にさせてください」がお邪魔したときのお母さんのお言葉でした。そして最後の授業のあと、「やる気にさせてくれてありがとうございました」と、お母さんから言っていただきました。確かに、彼女の最後のころのがんばりようは尋常(じんじょう)ではなかったです。大学でもとてもがんばっている様子がうかがえてうれしいです。「宮」さんが掲示板に書き込んでくれるだけでも、私には、大いに励みになります。「宮」さんありがとう。
 メール不精(ぶしょう)の彼女が掲示板に書き込んでくれるなんて、実は、すごいことなんですよ。以前、彼女が学生さんの家庭教師の疑問にも答えてくださったことがありましたね。私に対する、彼女なりの観察が興味深かったです。
 この子も、最後の年の高3のときの彼女を見たら、「やる気がない」とはだれも言うことができなかったでしょう。もちろん、その彼女に対しても、私は、受験まで本人の望む科目は全教科教えました。私の前に通っていた塾で、やる気を出せなかったどころか、どんどん失っていったという子です。やはり、第三者が見たら、これは「魔法」でしょ。
 この「魔法」は、端的にいうと、豊富な知識、経験と、それから来る余裕に根拠を求めることができると思っています。ここで、皆さんに、その私の知識、経験の一端をご提供しているわけですけどね。頭の中にあることの、数%程度しか、まだ書き出せていませんが、これでも、多くの方のご参考になるものと信じています。少なくとも、多くのヒントを見つけることができるに違いないと思っています。ぜひ、のめりこんでください。きっと、よい影響を受けられると信じています。

 こんなことを書くと誤解されかねないので、あらかじめ申しておきますが、塾や予備校に行っているとかいうお宅があって、私が教える場合、塾や予備校とかをやめてほしいなどと押し付けがましいことを申し上げることはありませんので、ご安心ください。むしろ、すぐにやめないほうがいいと言うほうです。私は、私のほうが、ご家庭の現状、ご要望に合わせることからはじめます。提案はすることがありますが、押し付けることはありません。これもまた、このホームページ全体から、おおよそご想像いただけるかとは思いますが、、。

2007年12月5日 4:28:01
 以下は、あるお宅が別のあるお宅(にゃっきさん)に送られたメールです。とてもきちんとされているお母さんで、私自身とても感謝しています。私の申していることを、しっかり受け止めてくださり、日々のかかわりに反映されている方だと思います。勉強、子育てに関して、なかなか学ぶべきことがあるかと思いますので、ぜひお読みください。すべての子に当てはまるわけではありませんが、同じような子を持たれて悩んでられるお宅も多いかと思い、そういうお宅には参考になるかと思います。ホームページに載せることについて、ご了解いただきましたので、、。プライバシーのためなどに文章を多少いじったところはありますが、文意を変えたところはありません。

当初は、掲示板へ書き込もうと思っていたのですが、 少々ためらってしまい、にゃっきさんをお待たせしてしまったかもしれません。ごめんなさい。
2年くらい前、CM というハンドル名で一度掲示板に書き込んだことはあるんです。今その記事を探してみたのですが見つかりませんでした。
では、さっそく我が家の「これまで」を書きますね。長いですけどよかったら読んでください。

息子は中1の初めから塾へ通い始めました。大手ではないのですが、この地区では最も実績をあげている新しくて勢いのある塾で、毎年、○○や○○(
注:具体的学校名は私田口が消しました)への入学者も数名あり、また、県内トップ高へも数十人入ります(息子は、トップ高にはとても手が届きませんが、その下の辺りに入れればなー、というところです)。 
そのような塾ですから、スパルタ式であり、毎回課題もどっさり、チェック・テストも毎回、クラス替えを兼ねたテストも年に4,5回ありました。そんな中、息子はといえば、クラスを上がったり下がったり、学校の定期テストも同様でぱっとしないままでした。このままではまずい、と思った私があれこれネットで調べているうちに、田口先生のサイトに辿りつき、中2の春からお世話になり始めました。当初は週1回1時間半、今は週2回1時間半ずつです。

はじめの頃は、田口先生には塾で理解しきれないところを再度教えてもらう形でした。主に数学、国語です。でも、成績が下がることはない代わりに、思うように上がることもありませんでした。やはり、それまでと同じように、つまらないミスを繰り返し、苦手教科に足を引っ張られ...という状況からなかなか抜け出せませんでした。時間的には結構勉強していると思うのに、結果が出ない...そんなモヤモヤした状態が続きました。

この間、何度か田口先生ともメールのやりとりをし、勉強の仕方が雑だ、という指摘をいただいていました。「大量に問題をやらされてきた子にありがち」な状況だと。確かにそうだな、と思いました。とにかく量をこなさせて身に着けさせる、という塾ですから (多くの進学塾がそうですよね)。ただ、私も夫も「苦しくてもそのやり方についていけば実力は上がるし、そもそもついていけないようじゃダメ」という考えでしたので、塾をやめるという選択肢はありませんでした。当人も、友達がたくさんいることもあり、特にやめたいとも言いませんでした。

ところが、中2の終わりか、中3の初め頃だったでしょうか、塾の先生について、家で時折文句を言うようになりました。クラスが変わるたびに、担当の講師もいろいろ変わるのですが、中には実力不足の人もいるし、無駄話が多い、性格がイヤミ(笑)、時間どおりに終わらないとか、気に入らない欠点が出てきたようで...。でも、何よりも、だんだん田口先生の考え方が染み込んできて、塾講師や塾そのもののアラが見え始めたんだと思います。時々「田口先生1本でもいけるかもな〜」などと言うこともありました。でも、私の方にはその自信がなくて「そうかもしれないけど...塾は入試の傾向とか情報とかいっぱい持ってるから」と、田口先生を信頼しつつも、塾を捨て切れず、息子の気持ちを後押しすることはありませんでした。そもそも、塾には「地元の入試の傾向や情報」の部分に期待して通わせていたのであり、それは京都在住の田口先生からは得られないもの、と考えていたのです。
けれど、彼が口にする塾への (もっともな) 不満を聞いているうち、なんとなく「あー、この子は"塾を辞める"って言い出すだろうな」と思いはじめました。そして、本人が自分から言い出したら、認めてあげなくちゃいけないな、と覚悟したのが、今年の春ごろだったでしょうか。地元の塾、という強みは失いたくないが、それでも、がちゃがちゃと問題をただこなしているだけという状況に陥っている息子を見ていると、これで先々は大丈夫なのか、という不安を、私も感じ始めていたのです。
で、思ったとおり、ある日「実は、塾をやめようと思うんだ」と真面目に切り出されました。一応「これから夏休みだよ。一日中ひとりで家で勉強できるの?」とか「塾は合宿までして勉強するんだよ?差がついちゃうんじゃない?」とか言いましたが、本人の意思は変わらなかったので、6月の半ば退会手続きしました。

今思えば、彼は、息継ぎも満足にできないのに泳がされている状態だったと思います。めちゃくちゃなフォームながらも流されまいと必死に手足を動かしていた...そんな感じでしょうか。それでも続けていけば、きっと向こう岸に渡れるはず、泳ぎ方だって覚えるはず、皆だってやってるんだし...と、親の私たちは思っていました。確かに、毎日もがいていれば、向こう岸まで泳ぎきれるようになったかもしれません。けれど、その後にやってくる、もっと距離が長くて波も高い海 (高校での学習から大学受験) になったらどうなるんだろう、という不安が頭をもたげてもいました。
わからないところがあっても、塾ではその場で質問できないし、授業の後も講師達はいろいろ忙しく、こちらの思うようにはなかなか対応してもらえません。そのため、理解の浅いまま次へ次へと進んでいく。そのペースは、田口先生に塾のフォローをしてもらっていても、彼には到底追いつけるものではありませんでした。また、塾側の目標が、高校受験で結果を出すことである以上、その後のことまで視野に入れた場合にアラが見えてしまうのは自然なことでしょう。とにかく県立トップ高+少なくともその次の高校へ一人でも多く入れるという目標達成のため、(問題の選択に力を入れているのかもしれませんが) 大量の問題を子供の尻を叩いてガンガンやらせる、というやり方が、息子の雑な勉強法を、さらに強く定着させてしまうことが怖くなっていました。高校へ入ったら、勉強法に親が口を出すことはさすがにできないだろうし、間違ったやり方で大学受験に向うことは、今と比べ物にならないくらい非効率だろうな、と想像したのです。
塾講師の方達の考え方と田口先生の考え方が違うことも、子供にとっては良くない、と思いました。もちろん、田口先生が塾を批判することなどありませんでした。しかし本人はその矛盾に気づいたようです。大人なら、おかしいな、自分とは違うな、と思えば適当に聞き流しつつ、都合のいいところだけを利用するということもできるのでしょうが、彼には無理だったようです。"船頭多くして"のたとえどおり、塾も田口先生の授業も、なんとなく中途半端になってしまいました (これは、塾をやめた後、本人から聞きました)。最後の頃は、いつも何となく不満と疑問を抱えつつ塾に通っていたんでしょう。本人は一生懸命やっていたと思います。その割にはなかなか結果が出なかったけれども。
塾をやめ、田口先生について行こうと決めた今の方が、はっきりとした意識で勉強していると思います。だからこそ、わずかずつ上向いてきたのかな、と。
やっときれいな正しいフォームで少し泳げるようになってきた、以前の変なクセが抜けてきたかな、というところでしょうか。夏休み明けの定期テストはこれまでで最高でした。中でも苦手教科でいつも足を引っ張っていた国語で99点をとったのには驚きました。学校の定期テストですからそんなに難しいはずはないのに、授業に関するノートやプリント、ワークブックからしか出ないはずなのに、80点を超えられないのはなぜなんだろう、といつもいつも思っていた国語です。丁寧に学習する、という当たり前だけど、一番あの子にとって難しいことを、やっとできるようになったんだなあ、と思わせてくれる結果でした。

塾を続けていても、そのくらいできるようになったのでは?という疑問には、残念ながら答えられません。そもそもまだ本番での結果は出ていませんし。でも、上に書いた国語の件や、その他の教科でも、わずかずつですが結果が上向いていることを考えると、間違った選択ではなかった、と思っています。何よりも本人が、やめたことを後悔していないということもあります。学校で元の塾の友達から色々と塾の話を聞いているとは思いますが、それでも本人に、不安になったり焦ったりする様子はありません。
他にも、食事をきちんととれる、とか時間に余裕があるとか、細かい「塾をやめてよかったこと」はありますが、長くなるのでやめておきますね。

掲示板で、ご主人が焦っていらっしゃる、という内容を読みましたが、お気持ちよく分かります。私もちょっと前までは「田口先生につきっきりで1時間教えてもらったのに、たったの2問しか進まないの?!」とか、「これじゃ過去問を全部やるなんて到底無理」とか思ってましたから。問題をこなすだけより、1時間に1問だとしても、この子にはその方が有効なんだ、と思えるようになったのはつい最近です。

長々とまとまらないまま書いてしまいました。削ろうと思ったのですが、これまで色々悩んできたことが伝わるかな、と思いそのままにしました。この文面だけみると、万事順調、みたいに思われるかもしれないですけど、そんなことは全くなく、イライラしたり落ち込んでみたりの繰り返しです。いつも掲示板では、にゃっきさんのお話読ませてもらっています。遠くで同じように怒ったり悩んだり喜んだりしている人間がいる、と思っていただければ幸いです。

では、何かありましたらお気軽にメールください。


 私は、天才といわれるような子(相応の努力の結果天才にみえるようになってしまった子なのですが)も教えてきました。ハイスピードで理解できる子には、ハイスピードで教えますが、必ずしもそういう子ばかりではないということですね。その子その子によってペースというものがあり、また、理解のパターンがあるということです。で、それを踏まえて、その子にもっともいい勉強のあり方というものを指し示してあげれば、子供は、多くの場合、自分で、時に喜々として、勉強し続けるのではないかと思います。私たちがうるさく言わなくても、、。私たちの能力はその1点のためにあるのかもしれません。
 彼について、申しておきますと、彼は今あわよくばトップ高というレベルまできています。私の週3時間だけのほうが塾の圧倒的に多くの時間より成績があがったというのが面白いですね(このお宅の場合はお母さんのご努力による部分もとても大きいかと思いますが、、)。以前どこかでも記しましたが、こういうことはよくあります。ただ、私は、トップ高に受かることより、高校に入ってから、さらには、大学に受かってからが大事であると思っていますが、、。これは、このお母さんと同じ認識ですね。

 それから、最後に一言。あれこれ思考してもいいですが、心を悩ませてもいいことは何もありません。にゃっきさんも皆さんもイライラしたり落ち込んだりされないほうがいいかと、、。

 実は、先日、別のあるお母さんが、あることで相談されてきました。本人の勉強(本人はとてもいい方向に向かっています)とは直接関係ないことでしたが、悩んでられたので、知恵を授けさせていただきました。で、この悩み事のために、1日か2日寝込まれたということを聞いたので、「寝込むようではいけません。事態はもっと悪くなります」とも申しあげました。私は、そういうことには、同情しても、一緒になって、暗い表情をしてみたりはしません。
 アドバイスの直後、事態は好転しました。おそらくは180度近く、、。当のお母さんが驚くほどでした。
 この話、今ここで具体的に記したら、そのお宅が特定されてしまうかもしれませんので、あしからず、、。ずーっと先に、書き込むことがあるかも知れませんので、気長にお待ちください。
 それにしても、あのお母さん、なぜ私に相談しにこられたのでしょう??いろいろな方に相談されて、最後に私にたどり着いたということでしょうか。私が、普通の人と正反対に近いことを申したものですから、もしかしたら、半信半疑だったかもしれませんね。きっと、わらにでもすがるつもりで、相談にこられたのでしょう。

 だめですよ。心を悩ませては、、。不幸の扉を開けるようなものです。白髪が増えてしまうかもしれません。知恵を使いましょう。
 ということで、あれこれ悩んで失敗した経験をお持ちの荒川静香という方の話をしましょうか?以前高橋尚子という方をご紹介したことがあるかと思いますが、この方と正反対のことをして悩んでられた時期があったのですね。で、もともとは頭のよい静香さんは、遠回りをしながら、最後は頂点に立ったのです。学生のころの二人は、天才スケーターと目立たない陸上選手というまったく正反対の出だしでした。でも、先にオリンピックで結果を出したのが高橋尚子さんのほうというのが面白いですね。なぜでしょう。オリンピックで優勝したとき、お二人ともいい指導者に恵まれていたということも興味深いです。学習とか教育とかいうものを考える上でも、なかなか学ぶものが多い話かと思います。
 この話は、ページを変えて次回から、、、。


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