家庭教師田口の視点(142ページ目) 

 このホームページは、最初は、ご興味のあるところから、拾い読みをされることをお勧めいたします。うそや大げさな表現は避けているつもりです。プロの家庭教師のレベルとして、当然のことを書いているつもりです

2019年7月1日(月)

 前回のつづきです。

 「アメくれた子」さんが一人でも集中して取り組めるよう、いくつか対策をしていきました。多くがどなたでもできるレベルのものです。これらでうまく「離陸」(私は本人が次第にやる気になっていく様子を「離陸」と表現しています。「離陸」に失敗しなければ、本人たちはずっときちんと勉強し続けます。ちょうど飛行機が安定飛行するように)する子もいます。

 まず、ノートにちょっとした工夫をしました。

 私は、宿題を出すノートに「課題ノート」という名前を付けることが多いのですが、その「課題ノート」を活用しました。

 その課題ノートの宿題に、「集中する」「早くとりかかる」などを入れました。もちろん、通常の宿題も書きましたが、その通常の宿題の最後のところに付け加える感じで「集中する」「早くとりかかる」などを書き出しておきました。「早くとりかかる」を入れたのは、これにもお母さんが悩まれていたからです。

 彼女の場合、これが有効かもと思ったのは、彼女は宿題として出すと、それはきちんとこなそうという傾向にあるように思ったからです(これについて、本人は必ずしも同意している感じではなかったですけど、とりあえず、そうかもって思って)。で、少しだけ有効でした。ただ、これだけでは、この「宿題」をきちんとやれないことのほうが多かった感じです。

 つまり、集中したり、早く取りかかったりができていた日のほうが少なかったのです。一応、進歩はしましたが、お母さんの期待したレベルには達していなかったわけですね。(つづく)

  

  

2019年7月4日(木)

 で、そのあと、課題ノートにさらなる、ちょっとした工夫をしました。

 本人の了解を得て、、。

 まず、曜日を入れてみました。たとえば、「集中する」という宿題のあとに「土、日、月、火、水、木、金」などと書いてあげて、自分でそれをチェックできるという形にしたんです。彼女は、私の宿題をひとつひとつ丁寧にチェックして、やれた場合は、それに簡単なしるしをいれる子でしたので、そのほうがいいかなと思いまして。きっと、曜日を入れれば、今日は集中ができた、今日はできなかったって、曜日ごとにチェックしてくれるかなと思いまして。そのうち、こういう宿題を出さなくても、集中できる子になるということも期待しながら、、。

 特に彼女の場合、私の授業の翌日は集中することがあり、でも、その次の日からやれないということがあったみたいなので、もしかして、私の授業後最初の日に集中できたりすると、もう「宿題をおえた~」という気分になってしまうのかと思ったりもして。

 これも、また少し有効だったみたいです。

 根がとても几帳面でまじめな子ですので、そのほうがやりやすいかなと思い、先ほど申しましたように、本人の了解を得たうえで、したわけなんですけどね。

 だんだんがんばるようになってきた彼女を確認しつつ、一方で、あまり急激に変化しようと彼女が無理をしたりするのも気の毒に思って、

前よりも少しずつでもよくなろうと思う感じでいいんだよ

というようなこともときどき伝えながら。

 あんまり、すぐに、急に変われ、みたいな感じだとつらくなってしまうかもしれませんしね。幸い、彼女は私なりの工夫を好意的に受け止めてくれましたが、、。

 そういう意味でもとてもいい子です。個人的には、お母さんの毎回のコメントに過剰に反応しすぎたかな、と心配しつつ、、。(つづく)

 

  

2019年7月8日(月)

 上で「個人的には、お母さんの毎回のコメントに過剰に反応しすぎたかな、と心配しつつ」と書きましたが、実は、本人がやる気を出したり、何かをきちんとできるようになるにはタイムラグがあることが多いのですね。ですから、

「これがダメ。じゃあああしよう」

「あ、またダメだったわ。次はこれで」

みたいに、対策を矢つぎばやに変えていくことがいいかというとそうでない場合もあるのですね。

 タイムラグのお話も以前(たぶんずっと以前に)させていただいたかと思いますが、そこを読まれた方のほうが少ないと思われるため、ここにも記させていただきますね。

 子供たちの変化に関しては、私は、いろんなところでタイムラグを感じてきました。定期テストは、本人のがんばりが比較的表れやすいのですが、それでも本人ががんばったのに結果が伴わなかったりすることがあります。範囲のきわめて広い模擬テストは本人ががんばっても、その結果がすぐに表れないというのは、当たり前のようにあります。

 で、あるとき、急に伸びだしたり。

 以前、こんなのもありました。定期テストで少しずつあがってきたかなあと思っていた子が急激に、どういうわけか、ある定期テストでいい点をとりました。で、その次の定期テストで、上がる前と変わらない点数に戻りました。

 そうしたら、そこのお母さん、

「成績が下がり続けているので、やめさせてください」

って。私は、

「承知しました。でも、成績が下がり続けているというのはあたらないと思います。前回ものすごくいい点をとって、今回前のレベルに戻ったという感じかと」

と申し上げ、本人からも説明していただきました。本当のお話ですよ。親って、子供の悪いところに、目が行きがちなのかもしれません。点数の上がったときよりも、下がったときに、意識が行きがちなのかもしれません。

 また、集中力とか、がんばりとかいうのも、すぐに変化はなくて、本人が何かに悟ったかのように、あるとき、急にがんばりだしたりします。

 もう少しゆったり構えてあげて、変わらないところに目をやらず、少しでも変わってきたら、ほめてあげたりするという感じのほうがいい場合もあります。ときにはじっと見守ってあげるくらいの感じですね。(つづく)

 

 

2019年7月11日(木)

 そういえば、前のページ(141ページ目)019年6月20日(木)の書き込みでとりあげた「気の毒なお宅の子」(おじゃまするのとパソコンと、両方で教えているので、「併用」くんとしましょうか)、今度は、夏休みの塾の夏期講習をお断りしたところ、塾の教室のみんなの前で、先生からそのことが問題であるかのように言われたそうで、それがよっぽど嫌だったのか、家に帰って、お母さんの前で憤慨(ふんがい)していたそうです。

 私が、それについて確認し、本人に

「気の毒やね」

と言ったら、笑っていましたが、本来は(あるいは、少なくとも私には)おだやかな彼らしい反応ですね。こういう、表面的におとなしい子ほど、実は傷つきやすいのでしょう。

 塾は、問題があるなら、個々の話し合いで理由を添えて伝えればいいだけのことで、夏期講習に参加しないことを教室のみんなに伝えて、本人に嫌な思いをさせることが塾にとって、プラスになることはないという気がします。

 夏期講習に参加しないことがいかに「異常なことか」を伝え、本人や親御さんに考え直していただきたかったのかもしれませんが、実際はみんなの前で、はずかしい思いをさせられた本人の反発を生じさせるのに十分な行為だったといえそうです。

 塾にとって、賢明なあり方のように思えません。

 私は、周りの人たちの言動を受けて感動とともにがんばりだす子もいれば、周りの人たちの言動によって、傷つきやる気を失ってしまう子もいるというのをいっぱい見てきました。

 今回のこの塾の対応には、そういう本人の気持ちに対する配慮のなさを感じてしまいました。もっとも、個々の先生の中には、私の申していることと同じことを感じておられた方もいることと思います。塾の方針みたいなのに、従わざるをえなかったということかもしれませんね。

 

 

 

2019年7月15日(月)

 前のページの最後あたりで、「『アメくれた子』さんのお母さんからの生き生きしたメールをご紹介しますね」みたいなこと書きましたが、書きたいことがいっぱいあり、遅れてしまいました。すいません。たとえば、こんな感じのメールです。

(前略)

そうそう、昨日の授業の後、「2時間勉強するって言ったら先生がすごく褒めてくれた。どうしよう!」
と言ってきたのです。
実は、1年前から妹の誕生日に小鳥を買う約束をしていたのですが、生き物なのでずっと渋っていました。
やっと購入することになった所に、A(「アメくれた子」さん本人のことです)も一目惚れをした小鳥がおり、自分も欲しいと言い出しました。
一羽で精一杯だと言うと、どうしても自分も欲しいから自分のお金を出して買う、
勉強も毎日頑張るから!と頼まれ、
じゃあ2時間できるかな?部活で疲れたから今日はなしとかなしやで。と言いますとしばらく考えてから
わかった。鳥のためやったら頑張れる。と言いました。
試験前の休日は2時間以上勉強するのも当然のようになっていたし、法事やその他のお誘いも
断り勉強したので、テスト前やったら2時間なんて余裕やな、と言っていたので、
その感覚でOKしてしまったのかも知れません。
(言ってから、1時間半にしとけばよかったかなぁ〜ハードル高すぎたかなぁとちょっぴり後悔しました)
そういう経緯があって、小鳥を理由にやる気を出したのに、自分で決めたみたいに褒められたのが
居心地が悪かったのでしょうか。

大体、何かを交換条件に勉強させるなんて間違っていますよね。が
きっかけになるといいなと思ったのもありました。
嬉しさで本人やる気ですが、自分のズルさにちょっぴり反省している私です。
というわけで、事情を説明しておきます。
Aから「先生に言っておいて」と頼まれましたので。

(後略)

 本人の様子などが生き生きと伝わってくる、上手な文章でしょう?

 確かに、ものやお金で子どもをやる気にさせようとすると、いいことないというのは、多くの場合言えそうです。私は、何回か、このホームページでも、その危険性をお伝えしてきました。でも、お母さんの親としてのお気持ちも十分わかりますね!!

 「私もだわ」

と共感される方もおられるのではないかと思います。(つづく)

 

 

2019年7月18日(木)

 私たち親は、どうしても子どもを自分たちの望む方向にもっていこうと、ついやらないほうがいいけど、ということをしてしまうようなところがありますね。

 「アメくれた子」さんのお母さんのご参考に、また、皆さんのご参考になるかもしれませんので、少し書き出してみますね。

 ものやお金で子どもをやる気にさせようとすると、いいことないということを申しましたが、これは根拠のないことではないのです。もっとも、当初は、私は、経験的に、直観的に感じていたことですが、、。

 以前どこかでもとりあげたかと思うのですが、ある実験のお話です。

 とても示唆に富む実験なので、少しお付き合いください。これをお読みになったら、「気を付けよう!」と思われるかもしれません。

 その実験では、子供たちを3つのグループに分けました。

 その3つのグループをそれぞれA,B,Cと名付けましょうか(実際の実験でどう名付けたかは知りません)。

 Aのグループの子には、何かいいことをするとそのつどほめてあげました。

 Bのグループの子には、何かいいことをしても何も言いませんでした。何もしませんでした。

 Cのグループの子には、何かいいことをするとそのつど、もの(確か子供たちが欲しがるようなものだったかと)をあげました。

 そういうことをしばらく続けたら、あるグループの子たちだけ、興味深い行動をとるようになったのです。どのグループのどんな行動だったでしょう?

 (誤解ないように申し上げておきますが、「アメくれた子」さん本人、いろんな意味でよくなってきているんですよ。仮にご両親のかかわりがおかしいくらいのことがあっても、だからうまくいかないんだ的な嘆きは、私はしません。そのくらいでも本人が変わっていくようにもっていけるのが専門家だと思っています。当たり前のことと思われる方もおられるかと思いますが、念のため)(つづく)

 

 

2019年7月22日(月)

 どのグループかと言いますと、Cのグループです。つまり、何かいいことをしたときに、そのつどものを与えられた子たちです。

 その子たちは、そのうち、ものを与えられるということがなければ、いいことをしなくなったようなのです。

 他のグループの子たちが以前と全くかわらない行動をとったのに対して、Cのグループの子たちだけ、いわば「物欲」的行動をとりだしたというわけです。

 これ、人が給料を減らされたりしたらやる気がなくなるみたいなのと、どこか似ていませんか?

 給料とかは、私たちが生活をしていくうえでとても大事なものですから、ある意味当たり前といえるかもしれませんが、子供たちが「何ももらえないなら、しない」という発想で行動すると、弊害が大きそうだというのは容易に想像つきますでしょ。

 勉強とか学習とかは、自分のために、自分の将来のために、あるいは、自分の好奇心のために、継続してやるのが本来のあり方かと思うのですが、「物欲」をインセンティブにして行動をする子たちは、目先の「ものがほしい」につられて行動するものですから、本人に勉強してもらおうという側は継続的にものを与え続けなければならないわけですね。(つづく)

  

 

2019年7月25日(木)

 そうなると、子供たちは、いかに周りの大人から「利益」を得るかを考えるようになり、一方、周りの大人たちは、その危険性に気づき、だんだんとものをあげるのを渋るようになっていったりします。

 ここで「駆け引き」が始まったりします。本来の勉強よりも「駆け引き」のほうにエネルギーや神経を使うようになってしまう子もいます。こういう子をいかにいい方向にもっていってあげられるかが私たちの力の出しどころといえるでしょう。

 皆さんの中にも、そういう「家庭内の大人と子との駆け引き」みたいなものをご覧になったという方もおられるかもしれませんね。これもかかわり次第といえるでしょう。

 話は変わりますが、「アメくれた子」さんのお母さん、「アメくれた子」さんがとても小さいころに、私のことをお知りになり、本も丁寧に読まれ、それに共感してくださったそうです。

 そうして、私をお知りになってから、10年くらいしてから、私に問い合わせしてこられた感じです。うれしいですね!

 「読破」くんのお宅も、母子ともども私のホームページと本を、文字通り「読破」されて、問い合わせてこられました。

 そうでないお宅もいっぱいありますし、というか、そうでないお宅のほうが多いわけで、この巨大なホームページや本を読むことの大変さも思い、恐縮してしまいます。繰り返し読んでも、新たな発見のあるような、というか、読めば読むほど価値を感じていただけるホームページ、本を目指してはいるのですが(私のホームページ、私の本は、知る人ぞ知るホームページ、本であり続けてほしいという思いで書いてきています!)、、。

 ご期待にそえるよう、私の知識、能力をフル回転して、結果を出していこうと思っています。

 「アメくれた子」さん、人見知りというのが本当に信じられなくくらい、私にいろいろ気遣ってくれるいい子ですし、、。

 

 

2019年7月29日(月)

 以前、あるアンケート結果で「自分はほめられて伸びるタイプだ」という人が大半だったというのを見たことがあります。8割は超えていたと思います。9割前後くらいだったかと。確か、、。

 中には、けなされて「なにくそー」って思ってがんばるような人もいるというのも事実でしょうけど、やはりそういう人はとても少数派なのですね。

 これは私自身の実感とも一致します。

 で、影響力を持ってかかわっておられる周りの大人の方のいずれかがほめることをまったくされないお宅では、子供たちがやる気がない、勉強が嫌い、というのが多かったというのも、私の経験するところです。

 で、そういうお宅で、よく聞く言葉が

うちの子にはほめるところがない

 ということなのですね。あらかじめ、

少しでもいい方向にいっていたら、ほめていただき、僕にもお伝えいただけますか?

とお願いしても、なかなかほめることができないようです。

 以前、CMさんという方の娘さんをとりあげたのをお読みになった方もおられるかもしれませんね。中学時代ずっと圧倒的トップの成績で、そのあと県で2番目にレベルの高い高校に行き、最初クラスで2番目の成績だったのですが、私が

「トップの子を抜こうね」

と言ったら、本当にそうなってくれて、さらに大学は現役で一橋大学に受かった子です。私は東大にも受かると思っていた子です。この子すごいでしょ!私が理想的に教えられた子です。関東の子でパソコンで教えていました。

 そんなすごい子でも、お母さんがメールなどで知らせてくださる彼女の様子には、毎回必ずだめだしがあった、というのもとりあげたかと思いますが、本人に

「これ(こういうダメ出しコメント)どう?」

と聞いたら、本人が

「ちょっと、、」

というので、私が、お母さん、つまりCMさんに、

「せいぜい、こういう否定的なコメントは、月1回程度にしていただけますか?」

とお願いしたら、まったくダメ出しはされないようになりました。こんなに優秀な子でも、親って悪いところを見つけてしまうんだ、と思って驚いたことがあります。

 なお、CMさんの娘さんについては、いっぱい載せてきているのですが、最初のあたりですと、

家庭教師田口の視点(32ページ目)

家庭教師田口の視点(46ページ目)

家庭教師田口の視点(66ページ目)

家庭教師田口の視点(67ページ目)

などでとりあげています。「優秀な子はどうしてそうなるのか」のヒントにしていただければ。(つづく) 

(次回はページを変えて)

 

 

 

 

 











もし、この「視点」全体から、読みたいところを探したいという方は視点目次(サイトマップ)をお使いください。ほとんどあらゆるタイプの頭の子、性格の子をとりあげてきています。かかわりの基本は同じですが、少しずつ、子どもたちによって、かかわりに変化をさせています。きっと、ご自身のお子さんと似た子も発見することでしょう。私が、どういう子にどうかかわって、子どもたちを変えてきたか、成績を上げていったか、などを、具体的に記していっていることがおわかりいただけるかと、、。ぜひご参考に、、、。繰り返し繰り返し読むに耐えうるものにしてあるつもりです。

 

 

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